今日はホロヴィッツの奏法について、全くの私見ですが申し上げたいと思います。
私からしてみますと、ロシアピアニズムの奏法のごくごく基本的な手や指の使い方だと思います。

そう申し上げると、驚く方もいらっしゃると思いますが、見た目に特徴はありますが、実は基本的な使い方であり、敢えて申し上げるならば、手が大きいゆえ、普通の弾き方、ポジションとは異なっているだけの話です。

ロシアピアニズムの奏法の基本である、前腕の筋肉、特に手首の下で支えているのですが、手首が鍵盤より下にさがるために、手首の力を抜いているように思われがちですが、実は支えているのです。


ただし、長年前腕の下で支えて弾いている人でなければ、前腕の中の腱が強くないので、前腕の中の腱が強くなければ出来ないことであり、腱が強くない普通の奏法の人がまねても、不可能であり、それをしてしまうと、ただぶら下がるだけで、肩から腕の重さは鍵盤には乗りません。


ホロヴィッツの場合、腱が強いので手首が鍵盤より下にあっても、腱が支えることが出来ますので、可能なことなのです。このことは手の小さなプレトニョフも、よくやっています。

次に、ホロヴィッツの弾き方のイメージに指を伸ばして弾くという特徴がありますが、良く観察してみますと、伸ばしてばかりではなく、その音型やポジションによって指を丸めて使うこともたくさんあります。


ここに掲載した動画をご覧になれば、分かるはずです。


昔、某ピアニストがテレビでホロヴィッツは、鍵盤の上で指を手前に引っ張って弾いているとおっしゃっていましたが、私の私見では、確かにそのようなタッチをすることもありますが、私は引っ張って弾いているとは思いません。


基本はただ触れているだけで、指はもちろん手のひらも脱力の極地の状態にあると思います。

次の大きな特徴は、鍵盤の底を狙わずに、鍵盤の深さ2,3ミリを狙って弾くことが多いということです。


このことについては、以前の章でも申し上げましたが、倍音豊かな音を鳴らすための弾き方であり、ホロヴィッツの場合、このタッチを多用するために、ノーマルな状態のアクションではなく、特別な状態にしてあるそうで、普通の弾き方の人や、前腕の腱が強くない人は演奏不可能だと耳にしたことがあります。

総じて、ホロヴィッツの手の使い方、弾き方は、決して特殊ではなく、ロシアピアニズムの奏法から見た場合、ごくごく当たり前のことをやっているのです。

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