新しいスピーカーを購入したおかげで、私は様々な発見、新しい感覚を知ることが出来ました。
その1つに、プレトニョフの演奏を挙げることが出来ます。
彼の響きのすごさ、楽器の扱い方のすごさ、多彩な音楽の表現のすごさなどを思い知ることとなりました。
それは、彼の本当の姿を見たような気がするほどであり、もちろん、以前から彼の演奏は素晴らしいとは思っていましたが、その素晴らしさの度合いというのが、実はとんでもない次元であった、なんと私は浅はかだったのだろうかと思ってしまうほどです。
それ以来、私は私の全神経を駆使して、彼の音の響き、そして動画で彼の手の動きに注目しました。
その結果、幸いにも私は、彼の演奏においての秘密を解き明かすことが出来たのかもしれません。
基本のタッチの特徴ですが、鍵盤の深さが約1センチだとしますと、結果的には1センチ弾くのですが、その1センチである鍵盤の底を狙うのではなく、鍵盤が下がり始めて2,3ミリのところを狙って打鍵するのです。これはスタインウェイの場合で、ヤマハですと5ミリあたりでしょうか。
ただ、これは非常に難しいことであり、単純に2,3ミリを狙って弾いても、まともな音は出ません。そこには、ロシアピアニズムならではの企業秘密と言っても良い、手首の使い方と前腕の使い方が伴います。それが伴わなければ、ただの貧弱な浮いた音しか出ません。
このタッチで、先日、私の生徒であり助手も務めてくれている佐々木崇(東京藝術大学ピアノ科講師)が東京文化会館で弾いたのですが、その演奏に大変驚きました。彼の演奏は、まるでプレトニョフのリサイタルに来たかのごとく、彼の音が会場に響き渡ったのです。
大変恐縮であり、非常に手前みそではありますが、私の感覚は間違いではなかったことを、私自身の耳で確認することが出来ましたことを、心の底から嬉しく思う事が出来ました。
また、そのような大変難しいことをやり遂げてくれた、彼に対して、本当に良く弾いてくれた!涙が出そうなほど大変嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
その演奏を形容するとすれば、プレトニョフのごとく、弱音を基本とした、豊かに、そして繊細に広がる倍音、そして、それにより表現されたとろけるような響きのレガートと言えます。
その倍音の混ざり方は、その局面に応じて様々な色彩に彩られた混ざり方をし、正に魔術師のごとく楽器を自由自在に操っており、その表現も自由自在であり、響きというものが音楽や音楽の解釈を決める上で、絶対不可欠であるということを実感、実証してくれました。
それにより、シューマンのクライスレリアーナという作品の持つ音楽の真髄に迫る、まさに新しい解釈と言っても良い演奏が繰り広げられ、作品に対する既成概念を見事に覆してくれました。
今、改めて思いますのは、本当に勉強には終わりがないという事。わかったつもりでいても、まだまだだということです。これからも、新しい発見が待っていたとしたら、こんなに幸せなことはないという事です。
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