皆さん、ご自身の耳、聴こえ方に自信はおありですか?
専門教育、特にソルフェージュで耳を鍛えた方は大勢いらっしゃると思います。その力があれば、すなわち良い耳をもっていると一般には言われています。何年か前に、「絶対音感」という著作がブームを呼びました。「絶対音感」をもっているのが良いという風潮が起こりました。
結論から申します。「絶対音感」、もしくはそこまでなくてもソルフェージュによって鍛えられた耳こそ、演奏に反映し、プロならば耳が良くて当たり前という考えに対して、私は反対です。(私個人としては、絶対音感より相対音感の持ち主の方が理想に思いますが)
今まで、ピアノを教えてきた経験から思うようになったのですが、そのような耳の持ち主であっても、それは正しい音程や正しいリズムを捉える事が出来るだけであり、演奏行為にとって非常に重要な要素である、音色の聴きわけが出来ることとは別物であるという結論に至りました。
これは、脳の使い方が違うとも言えると思います。驚くほどにソルフェージュをとるように耳を使う習慣が身についている人ほど、音色の聴きわけという事が出来ないのです。
一体、ソルフェージュというものは何に為にあるのか?と考えてしまうほど、私は先に挙げた例を数々見てきました。
先入観念もあると思いますが、例えばリヒテルの弾くバッハの平均律の録音やブーニンが弾くショパンコンクールの予選の録音を聴いて、スタインウェイで弾いていると思う方が大勢いらっしゃると思います。しかし、現実には違うのです。リヒテルはベーゼンドルファーを弾いていますし、ブーニンはべヒシュタインを弾いています。それに加えて、アルゲリッチがロストロポーヴィッチ指揮で弾いているショパンの2番とシューマンのコンツェルトはおそらくニューヨーク・スタインウェイなのです。もし、この事実を知ってもハンブルク・スタインウェイで弾いているように聴こえてしまうとすれば、それは残念ながら、ご自身が音を聴いていても、音色を聴いていないということになるのではないでしょうか?
音色を聴きわける耳、もしくは脳の状態にするには、ある種の訓練が必要に感じます。ある録音を聴いた時に、スタインウェイで弾いているのか?それ以外の楽器で弾いているのかを考えながら聴くのも、1つの方法だと思います。
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