昔、日本の某有名教授がモスクワの子供たちの演奏を視察して「日本の子供のほうが優秀!」と言ったそうです。 
確かに日本の子供たちの教育方針は、少しでも早く難しい曲をどんどん弾かせる傾向にあります。
小学生で曲の内容も理解できないのにショパンのソナタやバラキレフのイスラメイを弾いたなどとはよく耳にする話です。
内容も理解できないで技術的に弾けるからというだけで、難しい曲を与えるなど、ばかげた話です。



所謂、神童扱いされる、された子供たちは、大人になった時にどうでしょう?



20歳くらいになれば、皆、一斉に技術的に弾けるようになってしまい、横一線の状態になります。
ですから、日本の教育においては、神童はただの人になってしまうのです。なぜならば、その先に伸びないからです。



なぜ伸びないのかと申しますと、それは「指弾き」だからです。



それに対して、モスクワの子供の教育は、先を急ぎません。音の入り方、音の離し方の基本に始まり、音の歌わせ方、ということに重点を置き、日本の「指弾き」が指の関節で支えて弾くのに対して、モスクワの子供たちは指の屈筋で支えることをさせられます。



関節ではなく、筋肉です。



ですから、筋肉が強くなるまでは、時間がかかりますし、難しい曲は弾かせないのです。


そして打鍵の基本は、「弾く」というより、1音1音ずつ大切に置いて行くのです。


そのような教育方針の違いにより、今挙げた、技術的な観点からの根本的な相違、それに加えて、音を歌わせるという基本の概念があり、よって何をもってレガートと呼べるかの基本も違います。そしてもちろん、曲の内容を理解できる選曲です。



ですから、小学生くらいでは、日本の子供のほうが難曲を与えられて弾いているのですが、中学生位の段階になると、モスクワの子供たちの指の筋力が強くなりますので、モスクワの子供たちのほうが、より上質で音楽的に弾けるようになってしまうのです。



近年、モスクワでも残念ながら、神童願望が強くなってきていると耳にしますが、といっても、モスクワはモスクワです。根本の教育システムはいまだ健在です。


私は、まだ少人数ですが、子供たちに指導することを考えたときに、モスクワ式の教育方針を採用しています。後数年後に、皆どう育ってくれるのか?非常に楽しみです。

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