今日、つかの間電話で友人であり、調律師ならびにロシアピアニズムの研究家である石井秀一郎氏と話していたのですが、ゲンリッヒ・ネイガウスは非常にロマンティシズムにあふれた演奏をしていたという事。
そして、彼の息子であり、スタニスラフ・ブーニンの父親であるスタニスラフ・ネイガウスもまた非常にロマンティシズムにあふれたショパンやスクリャービンを弾いていました。
そこには、まず音そのものがとろけるような甘味にみちた、ロマンティックな響きが必要であり、同じくゲンリッヒ・ネイガウスのアシスタントを長らく務めたレフ・ナウモフも、音そのものはもちろん、演奏スタイルもゲンリッヒ・ネイガウスを継承し、弟子たちに伝えたのだと思います。
ただ、私が思うに、ゲンリッヒ・ネイガウスの弟子であってもロマンティックでない方向の演奏を目指した、例えばスビャトスラフ・リヒテルやエミール・ギレリスという存在もいました。また、アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリやグレン・グールド、アルフレッド・ブレンデルの存在や、特に1970年代、マウリツィオ・ポリーニらの出現によって、それまでのピアノの世界が、ウラディーミル・ホロヴィッツやマルタ・アルゲリッチを代表にどちらかというとロマンティシズムにあふれた演奏様式だったのに対して、世界の主流は、そういうものを排除したような演奏になって行ったように思います。それによりロマンティックな演奏は、ある種の時代錯誤、時代遅れな演奏と捉えられてきたのかもしれません。
そのような中でも、ロシアにおいての主流は、やはりロマンテシィズムにあふれた音でもって、ロマンティクな演奏が追求されていたのだと思います。
私が思うに、とりわけ顕著なのは、レフ・ナウモフとその弟子たちに大切に継承されてきたロマンティシズムだと思います。
時代は変わり、今また、先祖がえりのように、ロマンティツクな演奏が世に求められ、自然に演奏されてきているのだと思います。例えば、ナウモフ系列と言える、セルゲイ・タラソフ、アンナ・マリコヴァ、アレクセイ・スルターノフ、ダニエル・トリフォノフのように。
そもそも時代をたどれば、ショパンやリストを中心としたロマン派の作曲家により、最初のピアノの黄金時代が開かれたのですから。クリックお願いします!
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