私の友人であり、孫弟子でもある生徒が、このブログに今までを振り返った感想を寄せてくれました。 
以下、その生徒の原稿です。
 
大野先生のお宅でレッスンを受け始めて、9か月が過ぎました。
 
以前は某Y系列のピアノ教室で習っていました。月3回の30分レッスンだったのですが、短いレッスン時間や内容に違和感を覚えていました。弾く曲の難易度が上がるにつれて、曲の内容や表現についての指導を受けたかったのですが、そのような指導はなく、ソナチネ・ソナタと平行して、ツェルニーやリトルピシュナをやり、弾くたびに肩や手が疲労して長時間は弾けなかったのを覚えています。
 
 ふとしたきっかけで、大野先生のお宅にお邪魔することになり、レッスンを見学させていただきました。そのレッスンはまさに自分の望んでいる以上の内容で、曲の内容や表現に加えて、音色や響きについてのレッスンでした。レッスンは、大野先生の人柄が出ていて、とても和やかな雰囲気のレッスンで、こちらもあまり緊張せずに聴くことができました。見学が終わった後、先生のお宅のスタインウェイを弾かせていただいたのですが、レッスンで先生や生徒さんが弾かれた音とはまるで違う「薄っぺらい」音だったのを覚えています。何度か見学させていただき、皆さんが弾かれているような音で弾きたいと思い、習うことにしました。
 
 そこからは、自分のピアノ人生がまるっきり変わってしまいました。まずレッスンは、響きに重点を置き、なおかつ奏法自体も今までとは違うものでした。大人からピアノを始めた私は、正直ガチガチの手だったのですが、奏法を教えて頂くにつれて、だんだんと手の力が抜けてゆきました。また、曲の内容や背景にふれるレッスンはとても楽しく、ただただ譜面どおりに弾いているのとはまるで違う内容でした。
 
 レッスンを受けるにつれて、耳の聴こえ方も変わり、響きや音色の変化に敏感になるようになりました。具体的には、ピアノの向こう側へ飛んで行く響きや、ピアノ全体から湧き上がる倍音が目に見えるかのように聴こえて来たのです。また同時に、身体が楽になってゆき、以前ですとせいぜい1時間で身体が疲れていたのが、2-3時間弾いても疲れないようになりました。さらに、音も「薄っぺらい」音から響く音に変わっていきました。
 そうなってくると、ピアノに対しても以前より断然楽しくなり、音の変化やいろいろな表現をしてみたいという気持ちになりました。以前はレッスンに向けて義務的にやっていた練習も、もっと上手くなりたいという気持ちから自然に時間を作って練習するようになりました。さらに、以前聴いていたCDの聴こえ方も変わり、プロの演奏を聴いた時の音色や表現に敏感になり、演奏によっては物足りなさを感じたりするようになりました。このような自分のピアノの演奏以外の変化も、とても嬉しく思います。
 
 また、こちらの教室では著名な海外の先生方のマスタークラスがあります。もちろん、ある水準以上の方が受けるものなので、私は聴講させていただきました。具体的には、ヨッフェ先生、マリコヴァ先生、ネルセシアン先生です。CDやコンサートをされている著名な先生方が目の前にいてレッスンしていることにとても驚き、内容にも感激ました。とても印象的だったのは、いずれの先生も「国内には他にない水準。また来るね。」と喜んで帰られたことです。そのような教室で習えていることにとてもありがたく感じました。
 
 また、レッスンは、スタインウェイのフルコンで受けるという、まず経験できない環境で受けさせて頂いています。始めてみたときの感激は今でも忘れません。以前は、スタインウェイはあまり好きではありませんでしたが、この奏法を勉強するにつれて、他のメーカーに比べ敏感に変化することや、先生や生徒さんの演奏をきくにつれて好きになりました。誤解のないように補足しますが、この奏法を修得された方が弾くと国内メーカーのピアノでもとても良い音が出ます。
 
以前からピアノの奏法は複数あることはなんとなく知っていましたが、自分が大好きだったアルゲリッチも同じ奏法であることを知り嬉しく思いました。今思い返すと、自覚していなかったのですが、アルゲリッチの響きのある、様々な音色が変わる演奏が昔から好きだったのかもしれません。また、レッスンの合間にアルゲリッチのDVDを見たのですが、レッスンで習っている手の使い方は、まさにアルゲリッチと同じだったのでした。
 現在はショパンとバッハを勉強していますが、今後は他の作曲家にも挑戦したいと思います。もっと色々な音や表現を修得し、作曲家の意図していることを少しでも表現できるようになりたいと思います。
 
 最後に、いつもご指導いただいている佐々木先生、相澤先生、そして直接指導は受けていませんが、このような教室をつくられ、ピアノに限らず様々な音楽のお話や演奏を紹介して下さる大野先生に感謝いたします。今後とも宜しくお願い致します。

 
 
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