
うちには猫がいます。その猫は、もちろん猫ですから、勝手気ままに暮らしています。ですから、我が家のスタインウェイのフルコンの上は、暖かいので猫の格好の寝場所となっています。
で、レッスンを始めようとすると、気配を察してか、一斉に起きだしピアノから鍵盤を伝わって降りるのです。
その時の猫が鍵盤を踏んだ時に出る音、これは、私に言わせれば、一般的に皆さんが出している音と基本の性質は一緒なのです。要するに猫でも出せる音は、一般に出している指弾きの音なのです。
断言します。
巨匠と呼ばれるピアニストであっても、指弾きのピアニストの音は、猫でも出せる音なのです。
この音のことを、最近私は「裸の音」と言っています。
この「裸の音」では、音の強弱はあっても、音色、音のキャラクターは変化しないのです。
理想は、「裸の音」ではなく、倍音の響きを洋服のようにまとった音が、本当に美しい音であり、その倍音で音色の変化や音のキャラクターを変化させるのです。
その理想の音を出すためのコツをお話ししましょう。
まず、手のひらの付け根、1の指の付け根から5の指の付け根のあたりの筋肉を、ほんの少しだけ、物を持つように内側へ寄せます。その際、各指の第1関節と第2関節の間の筋肉(屈筋)も少しだけ、内側へ寄せるように緊張させます。その状態を作ることにより、腕の重みを指で支えるのを助けるかのごとくに土台を作るのです。
一般的な弾き方は、その土台がない状態なのです。
土台を作らないと、腕の重さが指を伝わって、不安定な状態、もしくは、固い関節でしっかり固定された状態でダイレクトに、不用意に鍵盤に突っ込むように乗ってしまうのです。
その結果、基音がめだってしまい、「裸の音」が出てしまうのです。
今更ながらですが、この「裸の音」で、どんなに立派に弾いても、それは現代の完成されたピアノという楽器を鳴らしていることにはならないのです。
そして、その土台を作った状態で、鍵盤を弾くのではなく、鍵盤に置く、もしくは触れるだけでいいのです。その際、前腕の下の筋肉で腕全体を持ち上げた状態にしながら、指の第1関節と第2関節の内側の筋肉(屈筋)で、ほんの少し手全体を持ちあげたままの状態で、打鍵するのです。
その時、弾き過ぎてしまうと(土台がなくなってしまった状態で、指だけを動かしてしまうと)、花開いてしまったような、集まっていない平坦に広がってしまう音、「裸の音」になってしまいます。それから、もう1つ大切なことは、手のひらの中に響きを層を生み出し、その手のひらの中の響きを指の間から逃がさないようなイメージを持つと、より良い響きになります。
文章では分かりにくいことですが、試みて頂ければ、響きが変化するのが確認できるはずです。
猫が踏んでも出せる「裸の音」ではなく、響きのヴェールをまとった音が、真の音楽の音なのです。
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