この動画は、DVDで一般に発売されている物です。もちろん、私も持っていますが、この動画のイーボ・ポゴレリチの演奏に対する好みは置いておくとして、手の使い方に注目して頂きたいと思います。



この手の使い方は、ロシアピアニズムの奏法の種明かしともいうべき、模範的な動きであるといえます。



鍵盤と指が平行になるのが一般的な奏法ですが、ロシアピアニズムの奏法に多い手の配置は、鍵盤に対して指が外側斜め45度くらいに構えるということがあります。これは、マルタ・アルゲリッチも行っています。



ですから、指先が斜めに鍵盤に入ってくるのです。それをするためには、手首が柔軟でなくてはならず、内側から外側へ手首を旋回しているのがわかります。



この手首の旋回運動は、ロシアピアニズムの奏法の基本となる動きで、ピアニストによって、この運動が大きいピアニスト(例えばエフゲニー・キーシンもですが)、それに対して、その旋回運動があっても、大きく見せないピアニストに分かれると思います。



昔、モスクワ音楽院の前の段階である、モスクワ中央音楽学校の名教師の1人で、エフゲニー・チマーキンという先生がいました。門下からはたくさんのピアニストが出ていますが、この動画のポゴレリチもチマーキン門下ですし、ミハイル・プレトニョフもチマーキン門下として有名です。



以前、ピアニストのエフゲニー・ザラフィアンツ氏が我が家へマスタークラスのため、いらしたときにおっしゃっていたのは「昔、チマーキンが言ったのだけれど、ポゴレリチの大きな手とプレトニョフの頭脳を合わせれば、素晴らしいピアニストが生まれる」だそうです。



話はこの動画に戻りますが、私は、まだ私の所へ来て日が浅い生徒に、この動画を見せるようにしています。私の生徒で、この春から東京藝術大学で講師に就任する佐々木崇は、非常に研究熱心で、約10年前、彼がまだこの奏法に変えたばかりの頃、自分でこのDVDを購入し、何度も見て観察、研究したそうです。そして、この演奏から、たくさんのことが内側からわかったそうです。



この動画は、基本がたくさん詰まっている宝庫のようなものです。



みなさんも、この動画をご覧になって、ご自身が弾く時との違いを確認できると思いますし、なぜ?このような響きが出て、なぜ?このような手の使い方をするのか?もちろんこれは必然的な動きであり、無駄な動きとして片付けるのではなく、想像してみるとおもしろいのではないでしょうか?



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