
私の今までのピアノ人生において、タチアナ・ニコラーエワ先生と出会ったことは、大きな衝撃でありました。その後、色々な素晴らしいピアニスト達と出会って、それはそれで大きな財産となりましたが、と言っても、やはりニコラーエワ先生との出会いは特別なのです。
私の耳に、今でもしっかりと残っているニコラーエワ先生の紡ぎ出す響きの世界。
それは、私にとって何物にも代えがたい大きな財産となりました。
この20年間、ニコラーエワ先生の響きをひたすら追ってきたと言っても過言ではありません。
先生の声、小さな身体、小さな手、指導の内容、ショスタコーヴィッチとの関係を秘密めいた言葉でおっしゃっていたり、お年を召していてもオシャレには気を遣われ、ある日は全身ショッキング・ピンクの服で登場されたり、一緒にタクシーに乗って宿泊施設までお送りしたり、今となっては大切な思い出です。
私のホームページ大野眞嗣「ピアノの時空」から、引用させて頂きます。
「1990年、小柄なロシア人ピアニスト、タチアナ・ニコラーエワの教室を訪れたときのこと。その時の受講生は、彼女とは対照的な大柄なドイツ人であろう男子学生でした。曲はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。もちろん手前のピアノでその生徒がソロ・パートを弾き、その向こうのピアノで先生である彼女がオーケストラ・パートの伴奏を受け持ち、まず全楽章を通して演奏されました。そこには先生の弾く何気ないように見えるタッチから生み出された、まるでオーケストラを思い浮かべさせられるほどの多彩な音色の表現があり、私はまたもや圧倒されたのでした。手前で生徒が激しくフォルテの和音を鳴らしても、彼女の1音はそれを飛び越えて、部屋の空間に広がって行くものでした。永遠に消えそうもないほど、長く宙に浮いていました。何かの魔法を見ているような思いがしたものでした。彼女の指先から紡ぎ出される響きの色は無限と言えるほど多彩なグラデーションを描いており、聴く者の心が解き放たれていくような心地よさがありました。また、シューマンのレッスンにおいて、彼女が好んで「ウィーンの謝肉祭の道化」より間奏曲を演奏したのですが、深いバスの響きに支えられ、和声の変化に彩られた内声と切なく歌うメロディーの織りなす絶妙な響きの空間と呼吸に深い感動を覚えました。」
ここに記したシューマンの間奏曲の演奏は、それはそれは衝撃的でした!
この曲のニコラーエワ先生の演奏を是非、お聴きください!
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