作品10-4 嬰ハ短調
この曲は、16分音符を追ってしまいがちですが、実は冒頭の場合、左手が重要になります。スラーでつながれたモティーフに続き軽快なリズムで8分音符のメロディーが刻まれます。
ということは、16分音符がしっかりとした音でチェルニーのように弾かれてしまうと、それに対するメロディーが聴こえなくなってしまいます。
それでは、16分音符はどう弾くべきでしょうか。
まず冒頭のモティーフの性格をしっかり出さなければなりません。そのためには、両手ともGis-Cisのオクターヴを良く響かせなければなりません。まず、手の配置に気を配る必要があります。両手とも鍵盤に対して並行に構えるのではなく、少し外側にひらいたようにします。1の指を左右ともに鍵盤の奥(蓋側)に置いて構えます。そして弾いた瞬間に、1の付け根の手首の辺りから腕の重さを逃がします。その勢いでCisの音に入ります。この2つのオクターヴの響きの中に16分音符を含ませる感覚で弾きます。しっかり弾きすぎると、モティーフの音型Gis-Cisを邪魔してしまいますから、鍵盤に触れるだけで、指の動きと言うよりも、腕の重みの移動で鳴らします。
次の第1小節からの右手16部音符は軽い表情で音色の変化、音のラインを出さなくてはなりません。まず、塩をつまむように指先を集めます。そして最初の音Cisで少しだけ手首を鍵盤の蓋側(前方)に動かします。これはまるで手首が呼吸していて、息を吐いているイメージ、しかもほんの少しのかすかな息です。それに続くDis-His-Cisの3つの音は、一固まりで鍵盤に触れるだけです。そして次の拍の第1音目Disは手首で息を吐き、それに続く3つの音E-Cis-Disは、やはり一固まりで鍵盤に触れるだけです。その際、指の中は空洞になっていて、指先の一番小さな面積、針の先で触れるがごとくに弾きます。
第20小節、左手の16分音符は手首を外側に回転させ、1の指を鍵盤の蓋のほうに手首から移動させて弾くと良いでしょう。
第25小節、内声C-Des-Des、第26小節、内声Es-E-Eは左手で。
第27、28小節、内声Fis-G-Gis-A、Ais-H-C-Cisは左手で。
第29小節、内声2拍目H、4拍目A、第30小節、内声2拍目G、4拍目Fisは左手で。
第46小節、3拍目までは音型に沿って、右斜め前方に手首を移動してゆきますが、4拍目Aの音から次の第41小節、1拍目の和音まで左斜め前方に手首を切り返して移動させます。
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