
一般にフルコンというものは、ステージでしか弾くことはないに等しい楽器です。
そのイメージは単に「音量が大きい楽器」でした。(笑)
ですから、自分の部屋に置くなど考えも及びませんし、まったくもって必要ないと思っておりました。
しかし、ある日、普段お世話になっている調律師さんが見えたときに、良いフルコンがあったので、試しに弾いてくれば!と勧められ、なぜか?ふと気になって試弾に行ったのが間違いでした!(笑)1音弾いただけで気に入ってしまったのです!
もっとも、既にその調律師さんから幾度となく、フルコンを勧められてはいました。
「フルコンはおもしろいよ!ホールで弾くのとは全然違うよ!そろそろフルコンにしてもいいんじゃない?」
そのような成り行きの結果、購入することとなり、実際に私のレッスン室(約12畳ほどですが)に入れてみて、そのイメージは覆されたのです。
調律師さんがおっしゃるような、フルコン=繊細、深みなど表現の多彩さを感じることが出来たのです。残念ながら、ホールで弾いているだけでは、音がホールの広い空間、遠くへ飛んで行ってしまうので、この感覚はわかりませんでした。
したがって、それぞれの作品に対する、今までの既成概念も音を立てて崩れていき、大きく変容することとなりました。ある作品を弾くときに、今まで思いもよらなかった発想が次々とわいてくるのには驚きです。
また、1つ感じた事は、どのメーカーであれ、そのメーカーの理想、基本がフルコンにあるということです。言い換えるならば、そのメーカーの楽器の魅力がいっぱい詰まっているのは、実はフルコンにあるということなのです。
諸事情から、使い勝手の良い小型の楽器がつくいられていますが、あくまでもフルコンを基本として、いかにフルコンの持っている魅力を凝縮させるか?ということを念頭に置いて作られているのだと思います。
私は、15年前に初めてスタインウェイのBモデルを購入し、楽器からたくさんのことを教わりました。そして、今、Dモデルのフルコンを持つに至り、たかが数か月ですが、様々なこと、先程の作品解釈から、ピアノという楽器の弾き方、鳴らし方の基本など認識新たにしています。
具体的に感じた事の1つに、この大きな楽器をいかに鳴らすか?という問題があります。
生徒たちの演奏を聴いていると、どんなに小さなピアニッシモでも、弦が途中までしか振動していない音、弦がフルに振動している音、そして、弦のみならず本体の木枠まで振動して共鳴している音と大きく3段階に感じることができるようになりました。
理想は本体の木枠まで共鳴させる音で、これは力技では出ません。
いかにピアノと言う楽器の特性を知り、楽器そのものと仲よくしなくては楽器は応えてくれないと思いました。
総じて、生徒はもとより、私自身のさらなる飛躍を念頭に、敢えて借金を背負ってまでフルコンを購入したことは無駄ではなかったと感じることが出来ました。
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