パーヴェル・ネルセシアン(我が家に於けるマスタークラスにて)

パーヴェルが我が家にマスタークラスをしに来るようになって、早いもので数年が経ちます。ディーナ・ヨッフェ先生と同じく、ふとしたきっかけで知り合いました。以来、私にとって大切な友人の1人となりました。

彼は現在、モスクワ音楽院教授でもあり、世界中を演奏、マスタークラスで駆け回り多忙な日々を送っております。コンクール歴もアイルランドの大変難しいと言われているダブリン国際ピアノコンクールで優勝、ウィーンのベートーヴェン国際ピアノコンクールで第2位をはじめ、数々の国際コンクールに入賞している実力者です。将来、モスクワ音楽院を背負うようになる重要な人物です。昨今では、毎年、夏の表参道のカワイ主催のロシアン・ピアノスクールの講師としておなじみの方もいらっしゃると思います。

彼の演奏、人柄、レッスンは、すべてにおいて魅力的です。素晴らしい芸術家なのです。ですから、日本においても、ピアニストとしてもっともっと、メジャーな存在になるべきだと個人的には思います。余談ですが、この数年で彼の来日回数は60回にもなるそうな!(笑)

非常に個人的なことですが、彼の素顔、境遇に触れずにはいられません。モスクワ音楽院教授と言えば、さぞかし優遇された生活を送っていると想像されると思いますが、現実は違います。彼の月給は、信じられないことに日本円にしてたったの数万円です。それがペレストロイカ以後のロシアの現状なのです。

彼には、ご両親、病気の姉がおり、その家族を彼1人で働いて養っているのです。そして彼自身にも持病があり、既に片目はほとんど見えなくなっています。酷い腰痛持ちでもあり、レッスンが長時間になると、腰の痛みのせいか、床に座ってレッスンを続けます。

それでも、来日の際の飛行機は、エコノミーでいい!と言うのです。

彼を見ていると、年齢は1つしか変わらないのですが、何か不思議なオーラ、精神的深みを感じます。真の芸術家にそなわっている何かなのでしょう。

私は、このブログで、皆さんに彼の存在を知って頂きたいと思いますし、先に揚げたカワイのロシアン・ピアノスクールを受講する若い学生の皆さんが、より彼の偉大さに対して尊敬の念を持ってレッスンを受けて頂きたいと思います。

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