この物語は、BL創作物語です。
登場人物は、実在人物とは無関係です。
耀が今一番求めているものは
僕？
じゃあ僕の言うことは
理解してくれるだろうか？
『ねえ優、僕、逮捕されちゃう？』
『弟の蛍を殺しちゃったから』
優は耀の目の前まで歩み寄り
ゆっくりと 優しく語り掛ける
「ねえ耀、僕を見て
僕の言うことを良く聞いて
君は僕のことが好きだよね？
だから僕の言葉を信じてくれるでしょ？」
優は耀と目をしっかり合わせ
話を続ける
「君は誰も殺してないし
蛍なんて弟もいないんだよ」
『・・・いない？・・・』
「それは君が作った ただの幻なんだ
鏡の向こうにいるように見える
自分みたいなものだよ
実際にはどこにもいないんだ」
「そして今ここにいるのは 強い君だ！
わかる？ 弱い弟はいないんだ
それにもし 君に何かあっても
僕が傍にいる！
だから何も心配しないでいいんだよ！」
『そばにいてくれるの？・・・』
鏡・・・
僕・・・
・・・
♡優♡
にこやか
今 彼の頭の中で
どんな風に考えが巡っているのかわからないけど
とりあえず様子を見よう・・・
それ以降
彼は常に僕から離れようとせず
やたらと甘えることが多くなった
うたた寝していても
度々 僕の存在を確認する
きっと不安なんだろう・・・
自分でも自分がよくわからず
戸惑いもあるのではないかと思う
『優？ 優どこ？ 優？！』
目覚めた彼は
必死に僕を呼ぶ
そんな彼が まるで幼い子供のようで
守ってあげたくなる母性本能が働き
優しく抱きしめる
祖母のお願いで
毎日学校の送り迎えや
時々 お泊りして
寝食を共にしながら
面倒を見ることにした
耀は僕の言うことを理解しようとするが
また すぐに弟の話をしては
発作を起こし
キスを求める
あの地下でのファーストキス以来
彼の気持ちを落ち着かせる方法は
これが一番
欧米の挨拶だと思えば何ともないし
僕は彼がキスを求めてくることが
不思議と嫌じゃない
キスの後は穏やかな顔になり
安心して眠りにつく
特効薬みたいなものかな
僕はそんな彼の顔を見て
安心できるんだ
つづく
