この物語は 創作物語です。
登場人物は、実在人物とは無関係です。
僕らは幾度か
食事をしたり
遊んだり
お泊りしたり
3人で一緒に過ごした
ある時この子が
カバンの中から
こんなものを取り出した
nǐ xǐ huān tā (にぃ しーふぁん た)
你 喜 欢 他 (あなたは彼が好き)
「うん、そうだね
僕は彼が好きだ!」
そして
ヒロにも同じカードを見せる
ヒロは笑顔で答える
あの子は一緒に過ごしながら
会話は聞こえなくても
僕たちの事を
関心をもって
しっかり見てたみたいだ
いや
聞こえないからこそ そのぶん
いろんなことが見えるのかもしれない
まだ幼いながらに
僕たちという人物が
自分にとってどんな存在なのかを
見極めるかのように・・・
「さあ
もうすぐご飯ができるからね」
「お待たせ!
じゃあ食べようか!」
「美味しそう♪いただきまーす!」
「こうやってると
なんか家族みたいだよね!」
「!」
するとこの子は
まるでヒロの言ったことが
聞こえたかのように
タブレットで僕にこうつぶやいた
うぉ やぉ にぃ だん うぉ ま
wǒ yào nǐ dāng wǒ mā
我 要 你 当 我 妈
(僕のママになって!)
君がいつも料理作ってるから
mā ma (まーま)
妈 妈 (ママ)か!
じゃあ僕が
bà ba (ばーば)
爸 爸 (パパ)だね!
その夜
二人を寝かしつけ
ヒロの寝顔を見ながら
今日のヒロの
あの言葉について考えた
彼は家族を作りたいと
思えるようになったんだろうか?
以前は・・・
「・・・もし結婚して子供ができたら
虐待するかもしれない・・・
虐待を受けた子の3~4割は
自分の子供を同じように
虐待してるって聞いたから・・・」
「だから結婚しないし子供も作らない!
そうなるとは限らないけど
自信がないんだ・・・」
こう言ってたから・・・
でも
僕はこの子の境遇が
ヒロに”家族”という言葉を
言わせたんじゃないかと思った
そして僕も君と
家族になりたいと思った
つづく