この物語は あくまでも創作物語です。
登場人物は 実際の人物とは
全く関係ありませんので ご理解ください。
この子は?
ヒロの入院からしばらくして
この病院の精神科に通い始めたこの子
目の前で起きた交通事故のショックで
【心因性失声症】になってしまったらしい
驚いたのが
この子が見たのは
ヒロが遭った事故だった
その時の目撃者によると
飲酒運転の車が
歩道にいたこの子をめがけて突っ込んできたが
一台のバイクが身を挺して
車の行く手を阻止したらしい
それがヒロだった
誰かのために犠牲を払う
一瞬のためらいもなく・・・
あの時だって君は
藍氏の師兄たちから咎められようと
罰を受けるのを覚悟で
阿苑を乱葬崗から救い出し
育ててくれた
なめらかで美しい白い肌につけられた
一生消えない傷・・・
そのうえ面壁もさせられ 3年も軟禁状態なんて
行き過ぎの罰だ考えられないよ
そんな重い罰を受けたなんて
一言も言わなかった君
沢蕪君から聞かなければ
知らないままだった
そこまでして
君が救ってくれなければ
阿苑は生きてはいなかっただろう
温氏を守れなかった僕は
阿苑が生きていたことで
どれだけ救われたことか
ただ
まったくヒロらしい行為で
賞賛に値するけど
僕は気が気じゃない
起き上がれるようになったヒロは
リハビリルームでこの子と出会った
何が気に入ったのか
この子はヒロの後ろを
金魚の糞のようについて回るようになった
相変わらずしゃべらないが
子供っぽいところがあるヒロの事を
友達になれると感じたようだ
言葉はなくとも通じる何かがあるんだろう
今ではヒロと仲の良い僕にも
心を開いてくれ
毎日の挨拶がこれ
最近は僕の姿を見ると
全力で駆け寄ってきて
ハグをしてくれる
この子は両親を亡くし
祖母が面倒を見ているらしい
僕たちにすっかり馴染んだある日
筆談用のタブレットに
こんなことを書いて見せた
「 我yao(要)你dang(当)我妈 」
(僕のママになって欲しい)
母親がまだ恋しい年ごろだよな・・・
妈妈(まーま)・・・
こんなかわいい子が
僕たちの子供だったらいいのに・・・
エピローグ
もうひとつ驚いた偶然は
大学時代の医学部のあの友人が
この子の親戚だったこと😲❕❕❕
いっそのこと母親やったら?
その そっけないアドバイスの仕方
つづく