<本編の構成>

 

 斜線はその場の光景や他の人の行動など

 (W)はウェイ・インで、行動、「セリフ」(心の思い)

 (R)  はラン・ジャンで、行動、「セリフ」(心の思い)

 【作者の感想】

 

第44話 草原の2人

 

ジン・グアンヤオが陰謀を企んでいる乱葬崗へ向かう2人。ロバに乗り笛を吹くウェイ・イン、手綱をひくラン・ジャン。ウェイ・インが「ワンシエン」を吹く。ラン・ジャンの表情がわずかに緩む。ちらりとウェイ・インをみるがすぐ目を伏せ黙って歩んでいく。

 

(W)「ラン・ジャン、聞くけどあの時暮渓山の玄武洞で俺に歌ってくれた曲はなんて 

  名前だ?」

(R) 「なぜ急にそれを聞く?」

  (やっと気づいたか?)

(W)「なあ、言ってみろよ。なんて名前だ?なぜ俺だと気づいたか見当がついた。教

  えてくれよ、なんて曲だ。誰が作った?」

    (お前が何度も考えろと言ったのはこれだったんだな。命を賭けたあの時、お前は

  俺の無茶ぶりを受け入れて歌ってくれた。俺はなんて鈍感だったんだ。あの時お

  前はそんなにも俺を思ってくれていたのになぁ)

(R)「私だ・・・」

   (自然にあの曲が生まれた。心の叫びだ)

(W)「お前が?それじゃ曲名は?」

   (俺のために?)

(R) 「どう思う?」

   (ワンシエンだ。お前の名前と私の名前の結合だ。ちょっと恥ずかしいが私にはそ

 れしか思い浮かばない。いい名前だろう?)

(W)「意見を聞いているのか?そうだな、それじゃいっそ」

   (俺が決めても?)

(R)「水を。のどが渇いた」

  (もう少し焦らしてやろう。いつも私をからかって喜んでいるお前だ。たまにはいい

 だろう?)

(W)「あぁ、そうか・・・」

   (なんだってそんなにもったいぶるんだよ!)

 

第46話 金丹は誰のもの?

 

蓮花鵜に来た2人はジャン家の祠堂に行き、祈りを捧げる。そこへジャン・チョンが現れ、ウェイ・インを侮辱するだけでなくラン・ジャンへも悪態をつく。怒りを飲み込み去ろうとするウェイ・イン、それを支えるラン・ジャン、わけのわからない怒りに駆られて、ジャン・チョンは2人に紫電を振るう。気絶するウェイ・イン。そこへウェン・ニンが現れ、ジャン・チョンの霊力の元はウェイ・インの金丹であることを暴露する。ウェン・ニンは、ウェイ・インが剣を履かずに衆目から軽蔑されるのを喜んでいたか、夷陵老祖として皆から嫌われる存在になることを望んでいたか、と問う。そうではない。ジャン・チョンを守るために誇っていた自分を捨てたのだ。そして可能な他の方法である詭道術を選ぶしかなかった。ウェン・ニンの話にジャン・チョンはショックを受ける、又そのことに心当たりもあるが、認めたくないと激高する。

 

(R) ウェン・ニンの話を聞きながら気絶しているウェイ・インを見つめている.

    (ウェイ・イン、お前はなんて奴だ。乱葬崗から帰ってきた時、私は何てことを言

     ってしまったのだ。あの時真実を知っていたら、お前が不夜天で破滅するのを防げ

     たかもしれない。しかしお前はジャン・チョンのために誰にも真 実を告げずに1人

     ですべてを背負ったのだな。お前らしい。しかしなぜ私に告げてくれなかったの

     だ。いや、私がお前を否定していたからだな。あの時私はお前の心に添えなかっ

     た・・・許せ。)

     滂沱の涙を流しながらぬぐうこともなく、ウェイ・インを抱きしめて蓮花鵜を去

    る。

 

蓮花湖の船の中で、ウェイ・インが気絶している間に、ウェン・チンが覚醒しているウェイ・インの金丹を取り出し、ジャン・チョンに移した経緯をウェン・ニンから聞き、そんな苦痛にも耐えジャン・チョンを救ったウェイ・インなのに、何も知らないジャン・チョンはウェイ・インをあんなにも侮辱する。それでも秘密を守り抜こうとするウェイ・インの誠実さ。

 

(W) 目覚めてラン・ジャンに言う。

    「ジャン・チョンの言うことは気にするな、な?」

   (お前が俺のせいで傷つくのは見ていられない。ごめんな。)

(R) 黙って目を伏せる

   (私が罵倒されたことを気にするお前、なぜそんなに優しくいられるのだ?ウェ

    イ・イン、お前の珠玉のような魂を    誇りに思うよ。私が愛するお前は人間として

    最高の存在だ。それを分からない世人などどうでもよい。お前とともに生きること

    ができれば私は他に何もいらないぞ。)

 

【3ヶ月も行方の分からなかったウェイ・インに夷陵の宿で再会した時、「邪道だ」と詰め寄るラン・ジャンに「俺の心のありようなんて他人にはわからない」と言ったウェイ・イン。ラン・ジャンは(私はあの時お前の他人だった。お前を愛しているつもりだったのにお前の心に寄り添えなかった。今さら後悔しても遅いが、今お前を全身全霊で守る、それが償いになれば・・・)というラン・ジャンの想いが分かる。

ラン・ジャンが流した二度目の涙だ。台本にはなかったらしいと誰かが教えてくださったが、ワン・イーボーがラン・ジャンになり切った証の涙。】