第34話 ウェイ・インの3度目の人生

 恐怖にかられ「ラン・ジャン、助けてー」と叫ぶウェイ・イン、舞い降りてウェイ・インを庇うラン・ジャン、見据えられて仙子は去り、ジンリンも去っていく。「間に合って良かった」と震えながら言うウェイ・インだ。子どものとき、ウェイ・インはイエンリーに同じように助けられたことがあった。ウェイ・インにとってラン・ジャンは今かけがえのないイエンリーのような存在になっている。16年前のとがった夷陵老祖だったウェイ・インは、ラン・ジャンの背に隠れてはにかむ可愛いい姿を見せる。不夜天での絶望とジャン・チョンの憎しみや世の人々の夷陵老祖への反感などが天真爛漫で傍若無人だったウェイ・インを変えた。そんなウェイ・インを守る守護神のようなラン・ジャン、その頼もしさを素直に受け入れるウェイ・インの新しい人生はラン・ジャンと共にある。復讐のために生まれ変わるなんて「死んだほうがましだな」とつぶやいていたウェイ・インだが、乱葬崗に捨てられ、不夜天で崖から身を投げ、2回死んだと思っているウェイ・インが、3度目の人生を生きる道ずれとしてのラン・ジャンに気づき始めた。そんなウェイ・インに愛しさつのるラン・ジャンである。

 ニエ家の陵墓へ導かれた2人は何故か壁に閉じ込められていたジンリンを助ける。その後ウェイ・インはジャン・チョンと出会い、「自分で仮面を取れ」と言われて仮面を外す。ウェイ・インだと確信したジャン・チョンは宿屋でウェイ・インを仙子に見張らせ、「漣花鵜に戻り、母上の前に膝まずき釈明せよ」と言うが、ジンリンの機転でウェイ・インは脱出に成功する。

 山の中へ逃げてきた2人、ジンリンに大梵山で言ったことに対し「悪かった」と謝ったウェイ・インに、ジンリンは「確かに母親はいないが、誰にも劣っちゃいない。それより見返してやる。誰より優れているってな。」と答えるのだ。ウェイ・インは自分の子どもの頃も同じだったと思う。ジンリンに対する愛おしさがこみあげてくる。姉イエンリーの忘れ形見。ウェイ・インは、ニエ家の墓でジンリンに取りついた悪詛痕の呪いを自分の体に移してジンリンを救う。