見終わった後、暫く席を立てなかった、、、。
号泣した訳ではない。
茫然自失だったのだ。
泣けるという事はある意味、余裕があるのかもしれないと思う。
衝撃に打ちのめされた時、人は涙も出ないのだ。

今まで数多くの映画を観てきた。
泣いたり、笑ったり、感動したり、考えさせられたりと、してきたけれど、
これ程までに、辛く、過酷で、いたたまれない映画があっただろうか、、。

もし、この映画がフィクションを元にした作品であったならば、ここまで打ちのめされはしなかっただろう。
が、この話は事実なのだ。
コロナ禍で目にした1本の小さな新聞記事をもとに、國實プロデューサーと入江監督が作りあげた渾身の作品なのだ。

画面を見ていても、
もはや映画を観ているという感覚はなく、"香川杏"が生きている、いや生きさせられている地獄のような日常を信じられない面持ちで、茫然と眺めているかのごとくである。

あの母親は、なんであんな酷い事ができるのか、、。
自分がそうだったからなのか、
理由は判らないが、"あん"の不幸の元凶はあの母親であることは間違いない。

―次項へ続く―