是枝裕和監督の作品であり、
カンヌ国際映画祭で受賞(脚本賞)した作品であるので、私としては、迷う事なく観るべき映画なのに、
どういう訳か、今回あまり気が 進まないのでした。
なんだか、後味が良くない様な
気がしていたのでした。
学校での「いじめ」をめぐる、
子供、親、担任、学校と、
それぞれの立場や、目線を元に
繰り広げられる、人間の我が身可愛いの醜さがミステリー仕立てで焙りだされていく、、、。
しかし、最後まで、真実は藪の中、、、。
と、勝手に作り上げていたのでした。
実際、冒頭はその様な感じでした。
火事のシーンから始まって、息子の度重なる異変に、いじめられていると思った母親が
学校に抗議に行くという流れ。
で、案の定のらりくらりの学校側の対応。
しかも、校長はじめ、担任や他の教師の腹立たしい、不愉快極まりない態度に、観ているこちらまで気分が悪くなるほどでした。
あのあたりのシーンの演出や俳優の皆さんの演技は秀逸でした。
本当に、グイグイ引き込まれましたよね。
ところが、フラッシュバック的に、だんだんと真相が明らかになるにつれ、話は徐々に違った方向に展開していき、
実は校長も担任も良い人で、熱心に優しく子供を指導していたのである事。
(しかも担任は辞めさせられる)
いじめも母親の早とちりな勝手な思い込みであった事。
すべての原因は二人の子供の
嘘(又は言わない事)にあった事。
が明かされて行く訳なのです。が、
その二人の子供の嘘の理由が、二人の間に芽生えた愛情関係を隠す為でした、、、。
怪物ははたして誰か?。
ちゃんちゃん。
て感じに私にはとれて、ガッカリ。
そんな事なら、
あの胸の悪くなる様な学校側の対応のシーンや担任の私生活はなんだったのか、
何度も出てくる火事の意味は何なのか?
私は
「怪物」という言葉のイメージから、もっとドロドロとした人間の欲や悲哀を想像していたものだから、本当に拍子抜け、肩透かしの映画でした。
しかも、二人の少年の切ない気持ちや苦しさも伝わって来ず、
で、
いや、それすらも古い人間のいう事であって、もはやもっと明るく、開かれた時代が来るんだよというメッセージなのかもしれません。
二人は台風の後、壊れた車両から、明るい青空に向かって駆け出していったのだから~~。
そもそも、
「クィア・パルム賞」
も受賞していたのだから、
気付いておくべきでした。
にしても、
テーマはどっちだったのかなぁと、やっぱり思ってしまう📽️