3月2日からクアラルンプール、ホーチミンと、アジアを旅行中です。

元々、今年の1月10日から2カ月間、フィリピン・マレーシア・ベトナムの3カ国を巡る旅を計画していたのですが、正月早々に思いがけず肺癌の再発という事実に直面して、「とにかく旅行どころではないだろう?」ということで、急遽中止にしました。
でも、抗ガン剤治療の道しかないと分かった時点で、治療を受けるにせよ受けないにせよ、慌ててどうこうする必要はなかったのです。
むしろ、今、まだこうして元気に動けているうちに、好きなことを充分にしておくべきじゃないか?と。
一旦中止したことでいくつかの航空機のチケットを無駄にしてしまいましたが、変更出来るものは変更して新たに短い行程で決行することにしました。
家族も友人も、心配しつつも快く送り出してくれました。

そして今、私はホーチミンのホテルにいます。
一人旅はいつも楽しい。
こうして、旅先でいつものように楽しく過ごしていると、私思うんです。
もしかしたら、再発・転移の宣告は、誰かが仕掛けたドッキリじゃなかったのか?って。
私はこんなに元気なのに、私の体内では癌細胞がせっせと増殖を繰り返しているなんて、ホント信じられません。

もしかしたら、今後1・2年のうちに私はこの世からいなくなってしまうかも知れない。
そう思うと、やっぱり悲しいし怖いけれど、抗ガン剤治療を受けることで、脱毛し浮腫んで青白い顔になって入院している自分の姿がどうしても想像出来ない。

人の命には限りがあって、例え今日生まれた赤ちゃんでさえも日々死に向かって生きていくわけだけど、考えてみれば本当に自分にとって死は遠い存在でした。
「いつか」はずっと「いつか」だったんです。
明日でも明後日でも一年先でもない「いつか」なんです。

ホーチミンは車やバイクが凄いです。
信号なんて無視。
歩道さえも使って逆走して来ます。
終始周りに目や気を配り「ただ、道を歩くだけなのに命がけだわ」なんて呆れながら、不意の事故死を畏れる自分に驚いてもいます。

転移宣告からもう2ヶ月。
じっくりじっくり考えて、自分の運命、人生を受け入れる覚悟は出来たと思っていたけど、まだまた揺れ続けていることを異国の地で知りました。