VWの問題が大きな波紋を呼んでいます...
今回はその自動車業界の一冊
アップルやグーグルなどの新興企業に、自動車業界がとって変わられるという話です。
著者:桃田健史氏
今後、自動車産業がIT企業や外資企業にビジネスを奪われる可能性は極めて高い、危機感を持って、国と企業が発想と働き方を変えなくてはならないという警鐘を鳴らす一冊でした。
【自動車の現状と今後】
■自動車業界の今のトレンドは3つ。
①海外マーケットシフト(先進国→新興国)
②動力源の電動化(ガソリン→HV、PHV、EV、FCV)
③次世代テレマティクス
本書が扱っているのはこの次世代テレマティクス、
『車のスマホ化』と『自動運転』である。
アンドロイド端末(通信の発達)、とクラウドの誕生によって、
今までクローズド化(社内完結型)されていた車が、ネットに常時接続するのが当たり前になる。
クロード化からオープン化、これにより自動車業界は激変する。
車の最先端は今やデトロイトからシリコンバレーに移ったのだ。
<車のスマホ化>
2013年6月にAppleが発表した「iOS in the car」
ハンドルを握ったまま電話、音楽やラジオが聞け、新聞を音声で聞くアプリ等をダウンロードして使う等、車のスマホ化が始まっている。
フォード「Applink」、GM「MyLink」、クライスラー「アハバイ・ハーマン」など、既に音楽配信サービスも展開中している。
車では目を離すと事故につながる。当然、手操作ではなく、音声で行う方が良い。
→ 車のスマホ化において『音声認識技術』が重要になる。
<自動運転>
目的地を決めたら、車が自動で連れてってくれる時代は目前。
自動運転に必要な技術は、
① 地図情報
② 位置情報 (衛星から自分の位置を地図上に示す)
③ 周囲情報 (車車間通信、路車間通信、人車間通信で、ぶつからないようにする)
また、ビックデータの活用で、運転手の癖や勘までも自動運転に取り入れられる。
逆に、ハッキングされてカージャックされる危険がある。
自動運転では『セキュリティ』『ビックデータの活用』も重要となる。
【欧州勢が有利なワケ】
■日本の自動車業界が乗っ取られるとはどういう意味か?
次世代テレマティクスで重要な技術である
『音声認識』
『地図データ(地図情報)』
『衛星(位置情報)』
『セキュリティ』
について、全ての分野を欧米が掌握している。
<欧米に握られる技術>
・『音声認識』技術はアメリカのニュアンス社が独占※ニュアンス社はスマホ、コールセンターでNo.1シェア、車載向け100%シェア
・『地図データ』ノキア(フィンランド)、トムトム(オランダ)、グーグルの3社独占。道路の勾配、コーナー曲率、高低差、車線幅までデータ化されるレベルの高さ。
・『衛星』軍需が強いアメリカ35基、ロシア、中国が次ぐ。日本は気象用衛星4基のみ。
・『セキュリティ』軍需が強いアメリカが断トツ。年一回のハッカーの祭典(アメリカ)で、昨年プリウスのデジタルカージャック方法が公開される。
Googleは既に地図情報と位置情報の技術を持っている。
既にアメリカのネバダ州、カリフォルニア州では、一般道の自動走行が法律で許された。
現在、Googleの実験カーが一般道を走り回っている。
※Googleは将来『世界各地で自動運転タクシー事業を仕掛けるだろう』と噂されている。
【日本はどうか】
<車スマホ化>
・音楽業界の強い抵抗があり音楽配信サービスすら実現できない。
・日本のカーメーカーは「今は過渡期であり、もう少し様子を見るべき」との姿勢。独自で進めているのはマツダの「マツダコネクト」くらい。
<自動運転>
・法律が変えられない ⇒ 一般道で自動走行テストが出来ない。
・2020年に高速道路の自動走行を目指している。(2020年以前に海外では一般道を自動運転している。自動走行≠自動走行。目指しているものが大きく違う)
・軍需が無い(アメリカの言いなり状態)。衛星、地図、セキュリティにお金が使えない。
⇒国が危機感を持って、法律改正や、技術を後押しする姿勢が無いと、企業の自助努力では勝ち目は無い。
【日本が生き残る道とは】
本書は、次世代テレマティクス分野に関して、日本の自動車の未来に警鐘を鳴らしている。
明らかに不利な状況は理解出来た。では今後日本の自動車産業はどう活路を見だすべきか?
日本の強みとして『周囲情報』技術がある。
この分野には最先端のカメラ、センサ、半導体技術が求められ、日本の技術がトップを走る。それにトヨタのHV技術。
『周囲情報』『次世代エネルギー』分野でトップ技術を持ち、
他の分野は日本で育てることは出来ないのであれば、海外と提携しなくてはならない。
トヨタ、ホンダ、デンソー、パナソニックもシリコンバレーオフィスを強化しているが、実状は日本人村で日本人が開発しているのが現状。
本当の意味での現地化と、海外企業と渡り合える真のグローバル人材創出を実現することが日本が生き残る唯一の道である。