先生は、嘘をつかない。

昨年2月末、
「出て来られるのはこれで最後かもしれない」
なんて言うから、
前日に知った東京新宿でのランチに、
青森から飛んで行った。

それが本当になった。

訃報を知った昨夜は全く眠れなかった。
今日通夜、
明日告別式。
告別式に、またも青森から東京へ、日帰りで行くつもりだった。
が、家族葬だと知った。遺言だそうだ。

明日は遠慮することにした。
今になって、文字通り睡魔が襲ってきている。
今夜は何も考えず、眠れるだろうか。

「出て来られるのはこれで最後かもしれない」
なんて、冗談だと思っていた。
百歩譲って、それは先生の真実であって、事実ではないと思っていた。

事実と真実は違う、
と教えてくれたのは、先生のアナウンス実習でだった。
事実はひとつ、真実は人の見方や立場によって違う、と。
そして私は先生のゼミ生となった。

先生は的確に事実を捉えていたということか。

先生、頭が下がります。
今の私は八方塞がりで、何もかもが上手くいかなくて、人生諦めかけていて…
そんな時、届いた先生の訃報。
全てが吹き飛びました。

初心。
私のすべき事に、腹をくくれました。

いつもよい評価をくださり、アドバイスを与え、
私にやる気と自信をくれた、かけがえのない先生。
間違いなく、恩師です。

新堀俊明先生 享年84歳。
心よりご冥福をお祈りいたします。