中国サウナ事情 蘇州編2019 | E編集長の飲茶トーーク!『中国、ここだけの話』

蘇州在住、E編集長です。


長らく更新をしていなかったブログですが、思いついたので中国サウナ事情ということで書いてみます。

このタイトル、在住の特に男性にとってはそそるタイトルではないかと思います。
と言うのも一時期、中国でサウナというとほぼ日本で言うソープランドと同意語の時期があったからです。

2004年から上海万博が行われた2010年ぐらいまで、中国ではいわゆるソープランドの事を「サウナ(隠語)」と呼んでいました。笑

もちろん健全なサウナもありましたが、比率で言えば9:1ぐらいの感じだったでしょうか。

しかし、本日はホンモノのサウナの話しです。
ちなみに現在中国ではソープランド風サービスを提供するサウナは100%全面禁止となっており、特に今年始まった黒社会(日本で言う暴力団)撲滅運動によりモグリ営業していたサウナもすべて摘発、廃業させられています。

※本当になくなりました。ある意味この辺りが中国の凄いところです。


さて、サウナの話しですが、私はサウナ大好き人間で(もちろん正統派サウナの方です 笑)、日本滞在中は週3〜4回は行くかと思います。

サウナそのものの魅力については次回にその講釈を譲るとして中国におけるサウナ事情について日本との比較をしながらお話したいと思います。



◼️サウナ(桑拿)の定義

まずサウナは中国語で桑拿(=さんな)と書きます。発音に寄せた形ですね。

日本のサウナは文字通り熱いサウナに湯船とシャワーが付いたいわゆる浴場という感じですが、中国の場合も形式としてはほぼ同じです。

ただ中国の場合、サウナとは言ってもサウナスペースは小さく浴場+サウナというニュアンスです。

実は同じ形式でもう一つ巷にあるのが「温泉」です。

温泉と言っても天然の温泉ではなく、水道水を温めたものは全て温泉と表現します。

この温泉ですがサウナ室が付属する施設もあればない施設もあります。

今はほとんどの施設でサウナ室が付いていますので、サウナと温泉の境界線はほとんど無くなっています。

つまりサウナと名乗る施設はサウナ+温泉、温泉と名乗る施設は温泉(銭湯)+サウナ室があったりなかったり…がその定義かと思います。

他の付帯サービス(マッサージ、飲食、その他)はほぼ同じです。

※以前はこれらに加え、性風俗サービスメインの個室サウナがありましたが、前述の通り現在は廃絶。


そしてサウナまたは温泉施設の数ですが、これ自体は日本の比ではないぐらいたくさんあります。

私の住む蘇州でもネットで検索すると数百軒ヒットします。

ただ日本人が衛生面含めて本当に利用出来る施設となると2〜3軒しかありません。



◼️自由過ぎる!何もかもが異なる利用ルール

日本では古くからの温泉文化や江戸の銭湯文化があったことなどから、いわゆる共同浴場としての使用ルールもそのような文化に根ざしたルールがあり、暗黙のうちに皆んなが気持ちよく利用出来る共通ルールがあると思います。


しかし中国のサウナを含めた浴場は歴史的にも文化的にも発達していなかったところに近年、ビジネスとしての浴場が増えて来たので、そのような文化に根差したルールがありません。

さらに言えば衛生観念や公共意識の不足、個人主義などからそれぞれが自由過ぎるぐらい自由に過ごす事になっています。


びっくりするのは浴場内に果物、飲み物、スープ、お粥などがあり、さらには灰皿まで置いてあるので割と普通にリンゴをかじり、タバコを吸いながら湯に浸かったりしています。

さらにはスマホ、タブレットの持ち込みも可能なので湯船の中で電話したり、好きな動画を観ている人もいます(写真も撮れます笑)。


しかし、恐らく日本人として一番驚くのは入浴前の掛け湯、シャワーをしない事で、こればっかりは驚くというよりも今これを読んでいるだけで抵抗感を感じる方も多いのではないでしょうか?


実は私がサウナ好きになった理由の一つがここにあります。


衛生管理がしっかりしている日本式の施設は別ですが、それ以外では湯船には極力浸かりたくないので、その代わりサウナで暖まる、というのが一つのきっかけでもあったのです。


◼️中国人は温泉好き、でもサウナは嫌い?

前述の通り蘇州だけでもサウナ(桑拿)または温泉を検索すると数百軒ヒットしますが、では中国人がいわゆる「サウナ」が好きなのか?というと恐らく「暖かい温水浴場」は好きでも熱々の「サウナ」室そのものはそれほど好きではないのだろうと思います。


サウナというのは元々フィンランドを含む北欧地域が発祥で日本のようにお湯や水で身体を洗うという発想ではなく、発汗により身体の老廃物を取り除く発想なのですが、日本の銭湯文化と同様にやがてその施設は社交場になり、入浴そのものが身体や精神の健康にも良い影響を与えるという極めて高度な社会性や文化性を含んでいます。


前述した通り中国の温泉、サウナは歴史が浅いためまだそのような文化には昇華しておらず、さらには皆さん感覚的に反応するのでサウナの熱に耐え、発汗、冷却というような極限を楽しむというサウナ独特の楽しみ方も根付いていない気がします。

そのせいかサウナと名乗っていても実際のサウナ室は冷遇されている感があり、ひどいところではサウナ室はあるものの使用出来なくなっているところもあります。


それはほとんどの中国人がサウナ室に入っても長くて3分、普通は30秒〜1分程度で出て行ってしまう事からもわかります。



また先日はこんな事がありました。

私は(日本のサウナ好きは)サウナに10分程度入りたっぷりと汗をかいた後、冷水に1〜2分浸かります(それは身体に良くないなどの議論がありますが、実は身体に負担をかけない入り方があります。それは本稿の主題から逸れるので割愛)。


この日もサウナ後に軽くシャワーで汗を流し、水風呂に浸かっていました(実はこの水風呂も日本よりも冷たくないので気持ちよくないのだが、まぁしゃーない)。


恐らく私が余りにも気持ちよく浸かっているから他の知らない中国人客は普通に暖かいお湯だと思うのでしょう。

いきなり湯船に入ろうとします。

私も意地悪なので黙ってそれを見ています。

すると脚を入れた段階で例外なく、

「哎呀呀,冷啊!(あちゃー、冷たっ!)」

と声に出して反応し改めて私の顔を見ます。

私はニッコリと彼らに微笑みを返します。笑



以上の理由から中国人はあまり熱々のサウナそのものは好きではないのではないか…というよりも恐らく考え方や性格に合わないのではないかと思うのです。


◼️実際のサウナ、温泉事情

それでも中国では今まさに空前の「温泉」ブームである事は間違いありません。

これには訪日の際の温泉体験というのも大きく影響していると思われます。


今、上海には日本式のスーパー銭湯または健康ランド的な施設が3軒あります。

内2軒は系列の日本資本、もう1軒は数年前に商標権の問題で話題となった日本の温泉施設です(資本は中国だがサービスや運営は日本式と言われています。商標の問題は2019年11月時点で解決していないと思われますが詳細は不明)。


また蘇州には日本式(日本資本)は1軒、無錫にも1軒あります。


共通しているのは確かに完全にサービスや運営が日本式である点で、何よりも顧客の入浴マナーをかなり啓蒙しているところ、湯船のお湯の衛生チェックも定期的にかなり入念に行っているところなどはさすが日本式(日本資本)だと思います。


結果的にどこも多くの中国人客で賑わっていて(もちろん在住日本人も多いし、何より助かります)、これは今後の大きなムーブメントになるのではないでしょうか?


結局、多くの中国人も実は衛生環境には敏感になっており、特に若い人や女性などは中国式のこの手の施設にはもはや行かないだろうと思われます。


現在、中国にはローカル式、韓国式、日本式とありますが、日本式の圧勝です。

一時期韓国式も流行りましたが、やはり衛生環境では日本式に敵わず、また日本式はエンタメ性にも優れているので、少々高くても皆さん日本式を選ぶようです。


ちなみに前段で中国人にサウナが合わないと言いましたが、確かに高温サウナは合わないのですが、流行っている温泉施設に共通しているのが実は岩盤浴施設です。

これは低音でじっくりと発汗を促すので中国人の女性には大ウケで、中国人女性が温泉に行く目的のほとんどはコレだと思われます。



◼️今、まさに日本はチャンス!

この日本式の温水浴施設の運営については一般の日本人でもわかるノウハウやルールがやはり中国人ではなかなかわからないので、日本風、日本式を謳ってマネる施設も多々ありますが、それはハードのみそういう雰囲気にしているだけで、サービスや運営、ルール、文化の啓蒙などの面ではどうしても追いつかずやはり残念な「なんちゃって」になってしまっています。

※ではハードは本当に日本式か?と言うとハードも追いついていないのが現状。


例えば風呂の温度。

これは非常に重要で日本の浴場は恐らく40〜43度ぐらいの間で設定されていますが、中国の場合、37〜41度ぐらい。

41度ぐらいあればどうにかいいですが、37度ではやはりぬるいと感じます。

逆にサウナ用の水風呂は25〜30度でこれも逆の意味でぬるい。

この辺りについてはやはり自らが入る、利用する事を想定していないので、感覚的にこんなもんか…になっているのでしょう。

それは衛生面においても同じです。


その意味でノウハウのある日本の浴場経営者や企業、デベロッパーなどは大きなチャンスであり、立地と駐車場の問題さえクリアすれば、入浴料は日本の3倍以上が相場である事を考えてもかなりの確率で成功するのではないでしょうか?


このようにサービス業はまだまだ日本人にしか出来ない分野があります。


私もこの中国で日本人にしか出来ない、私にしか出来ないサービスを追求していきたいと思っています。


それでは今日もサウナに行って来ます(笑)



E編集長




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