ご無沙汰しております。
E編集長のChina Talk です。
さて、先ほど弊社不動産部門の中国人責任者といろいろと話しをした。
そこでいろいろとわかって来たことがある。
いや、それはわかっていたことなのだが、確信を得たと言った方が正解か、、、
彼曰く、最近、中国蘇州で日本人駐在員がマンションを借りる際の仲介手数料を日系企業が支払ってくれないという。
話しを聞くと問答無用に仲介手数料を支払わないのだとか。
少し説明が必要かと思う。
日本ではマンションやアパートを仲介する不動産仲介業者は、大家、入居者の双方から仲介手数料を取るいわゆる「両手」と言われる形で都合家賃の2ヶ月分を得ることが出来る。
最近は大手不動産デベロッパーが直接賃貸するケースも増え、入居者からも仲介費を取らないケースが増えてきてるが、これは極端な例であろう。
仲介業者はこの仲介費あるいは契約更新時の更新料(これはいろいろと争議の元になっており、なくなりつつある)が飯の種なので、いずれにしても片手でも両手でも仲介費は絶対に必要である。
さて、中国ではどうか?
元々、入居者から仲介費を徴収する慣習はなく、大家からのみ仲介費を取る、いわゆる「片手」というシステムが一般的だ。
その代わりアフターサービスは一切ない。
本当に単純に大家(部屋)を入居者に紹介するだけ。
だから「片手」でも問題はない。
しかし、ここに日本式の「両手」の制度を持ち込んだのが、日系の不動産仲介業者である。
(日系と言っても日本資本という意味ではなく、日本で不動産業を経験した中国人が経営する日本人向けの仲介会社に過ぎないが、ここではそのスタイルから『日系』としておく)
※ちなみに弊社は100%日本独資でこれはかなり珍しいw
・入居者は日本人または日系企業
・仲介業者も日系
という図式なので、数年前までは入居者側も仲介費を支払うことになんの抵抗もなかった(日本と同じシステムだから)。
ところがそのシステムを日本のある企業がぶち壊した。
その企業がどこなのかは、読み進めるうちにわかるだろう。
では、今、蘇州の日系市場で何が起きているのか?
その日系企業は数年前の蘇州進出時に大量の日本人が住居契約をするという絶対的優位な立場を利用し、突然、多くの日系仲介業者に「片手」を要求したのだ。
取引を希望する仲介業者を自社の会議室に集め、仲介業務の契約書を提示した。
そして、この条件を飲める業者のみと取引する、と高らかに宣言。
その契約書にあったのが、入居者側であるこの日系企業は仲介費を一切支払わないという文言。
つまり「おたくらは他のローカル仲介会社と同じく、『片手』でやってくれたまえ」と宣言したわけである。
百歩譲ってここまではいいとしよう。
しかし、次なる文言にその場にいた各業者は唖然となった。
「アフターサービスは今まで同様のサービスを必要とする」
ローカル業者は片手の代わりにアフタサービスは提供しない。
逆に言えば、日系業者が両手だったのは、言葉も通じない異国での様々なトラブルに対応するためのアフターサービス費とも言えたのである。
ここで言うアフターサービスとは日本の仲介業者以上のサービスを必要とする。
例えば部屋の不具合に関する対応はもちろん、水道光熱費の支払いやお手伝いさんの斡旋、さらには公私を問わず入居者の通訳まで対応する。
言葉が出来ない駐在員は、切れて点灯しなくなった部屋の電球を交換するにも仲介業者のスタッフを呼ぶのが通例である。
これらに対応するには人件費含めて、入居者からも仲介費ぐらいはいただかないとやっていけないのである。
そんな状況をこの日系企業は破壊した。
大量の日本人駐在員(100~200人規模)というニンジンをぶら下げながら、有無を言わせぬ圧力を行使したのである。
その結果、ほとんどの業者がこれを飲んだ。
いや、飲まざるを得ないのだ。
するとこれに追随する日系企業が続出。
かくして、蘇州地域の不動産仲介費は両手から片手が常識になり、その上、アフターサービスもやらされる羽目になったのである。
結果として、仲介業者は息絶え絶え、日本人の減少傾向とも相まって風前の灯となっている。
ある業者などは、この日系企業の仕事が取りたくて、この会社の入居者が「このソファは気に入らないので変えて欲しい」という要求に対して、大家がそれを拒んだため、やむなくそれをこの仲介業者が肩代わりした、などというケースも発生している。
聞けば大家からの仲介費が10,000元、ソファが8,000元で2,000元の粗利にしかならないとか。
それでも仕事を請けなければ終わり、、、そんな状況に追い込まれているのだ。
下請け業者いじめとも言えるこの日系企業のやり方は、日本でのやり方とまったく同じである。
コストとリスクは下請けに負わせ、買掛金の支払いは6ヵ月後、自身はその間の莫大な金利だけで大もうけしている。
現場の社員はすべて派遣社員。
派遣社員は会計上「消耗品」と同じと豪語し、実際に人件費では処理していない。
だから閑散期には派遣社員の生活や行くすえを一顧だにせず契約を打ち切る。
この企業が産み出したとされるカンバン方式と言われる生産方式が世界中から賞賛され、それにならった多くの企業が下請けいじめを是とし、結果としてデフレの構造を作り上げていく。
そんなデフレのはじまりをここ蘇州で見ようとは思わなかった。
そしてわかった。
日本の失われた20年を創ったのは誰なのか?
日本を破壊したのは誰なのか?
それでいて、自身は強いものには徹底的に巻かれるだけ。
トランプがちょっとTwitterでつぶやいただけで、白旗をあげるだらしなさ。
我々日本人はこんな企業を日本の代表企業だといつまで崇めるのだろうか?
あの企業は日本発祥の企業であって、もはや日本企業ではない。
なぜなら日本と日本人を食い物にしてのし上がってきた組織だから。
本来は痩せた田畑を豊にするのが企業の社会的な存在意義であろう。
私はそう思う。
E編集長
PS:こんなこと書いたらこの世界では生きていけなくなるかも、、、
でもそれがロケンローラーだぜ!