オカンのブログに度々登場しているなかのひろとさん。
彼は自身が統合失調症であることを公表して音楽活動をしている。
初めて彼の歌を聴いたときは本当に衝撃だった。
統合失調症という病名を聞くと思い浮かぶのは、暗いイメージばかりだったその頃のオカン。
なのに、ひろとさんの歌は底抜けに明るくて、思わず笑ってしまった。
ああ、笑っていいんだ。
そう思ったとき、自分も精神の病気に対して偏見を持っていたことに気付いた。
同じ人間だもの、面白いことがあれば笑っていいに決まってるじゃないか。
アルジャジーラのインタビューで次男が言っていた。
不登校ひきこもりだって他の人となんら変わらない、同じ人間ですよ。
悲しいことがあれば泣くし、面白いことがあれば笑う、腹が立てば怒るんですよ。
その出会いからいろんな所でひろとさんと会うようになり、いつの間にかワラタネスクエアで一緒に働くようになっていた。
ある日、ひろとさんがオカンに訊いてきた。
「あなたはあなたのままでいいという誠子さんの言葉についてブログに書いてもいいですか?」
そんなのいいに決まってる、どうぞ、どうぞと答えたら、さっそく書いてくれたのがこちら。
読んでいて途中で涙が溢れてきた。
窒息するほど辛かったんだね。
たった1人がそのままでいいと言うだけで生きていける。
たったそれだけのことなのにそれを言える人になかなか出会えなかったんだね。
働いていない、家から出ない、死にたいと言う。
みんな、みんな、そのままでいいとオカンは思っている。
それを無責任だと言う人もいる。
そのままでいいはずないじゃないか、そのままにしておいたら死んでしまうかもしれないんだよって。
そうだよね。
それでも仕方がないとオカンは思うようにしてる。
死んでしまったとしても、それを選んだのはその人だから。
その人を丸ごとそれでいいと思い、そばにいること。
オカンにできることはそれしかない。
それがひろとさんにとっては必要なことだった。
それで生きていけるって言ってくれた。
『あなたはあなたのままでいい』が生きづらい思いをしている人たちにとって、どんな意味を持つのか、本当のところはわからなかった。
オカンも不安だったんだ。
これでいいのかなって。
ひろとさんの言葉で大丈夫だよ、これでいいよって言ってもらえた気がした。
だからね、みんなで笑おうよ。
ひろとさんのような人がいることを、こんなオカンがいることを笑っちゃえ。
苦笑いじゃなく、心の底から笑ってよ。
きっとみんな、もう少し息がしやすくなると思うから。