10冊目「異類婚姻譚」本谷有希子 | 本と旅と日々の出来事

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似た者夫婦というコトバがありますが、ずっと一緒にいれば趣味嗜好とか似かよってくるのは分かるけど、顔まで似てくるのはアリ?

ある日、旦那と自分の顔がそっくりになっている事に気がついてビビる専業主婦のサンちゃん。
家では最低でも三時間はテレビを見たい男だ、と妻に宣言する旦那、しかもテレビというのはバラエティ番組。
俺は家では難しい事は考えたくない男だ、と言って少しでも込み入った話し合いはやんわりと拒絶、ただバラエティ番組見ながらゆっくりしていたい、悪く言えば弛緩していたい旦那。
ふと、隣を見るとバラエティ番組見ながら旦那の顔が弛緩しまくって目鼻口の位置が下へズレてきていた!
そんな、家では何もしたくない男がある日から急に、揚げ物作りに目覚めて、そして夫婦の輪郭が混じりあっていく。

何ともいえない不思議な不気味な話でした。
ホラーかファンタジーか、もしや日本昔話か。
ラストは理屈抜きに日本昔話。
イライラする旦那と掴み所ない奥さんとが混じりあっていくさまはホラー。
2匹の蛇がお互い尻尾から食べ始めて終いには頭まできて蛇ボールになる、お互い融合して1つになる、みたいなくだりは本当に不気味。気持ち悪い。
日常と非日常との境界がにじんでいってよくわからない事になっていくような話でした。