26冊目「あの日君は何をした」まさきとしか | 本と旅と日々の出来事

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大好きな読書やら、旅行やら、主婦の日々の出来事なんかを記していきます。時々百名城めぐり出てきます。



まさきとしかさん。
母親の狂おしい愛、狂気なイメージな作家さん。

最近、めっきり読書意欲が低下中。
ダラダラ読んで放置して違う本を開く、みたいな繰り返し。
しかし、このまさきとしかさんは一気にいきました。
もうページ繰る手が止まりません。
ノンストップ!

息子、娘ともに第1志望校に合格のお祝いの夜、家族それぞれの好物を並べて笑顔あふれる幸せ一杯の夜、素直で優しい優秀な子供たち、なんて私は幸せ者なんだと噛みしめた夜から明け方4時すぎにかかってきた1本の電話。幸せの絶頂から奈落の底へ叩き落とされる所から物語が始まりました。

もう、明け方4時の電話なんて嫌な予感しかありませんよね。
その不吉な電話口からは、警察ですがお宅の息子さんは在宅してますか?と不吉極まりない問いかけが。
何を言ってるんですか?まだこんな時間ですよ?寝ているにきまってるじゃないですか!
と、たいがい言いますよね。
何を言ってるんだ!と非常識な電話への憤りがもぬけの殻となった息子のベッドを確認した瞬間に例えようのない恐怖へと変わるのです。
まだ中学卒業したばかりの最愛の息子の事故死を認める事ができずに壊れていく母親。

時は15年たち第2部へ。
一人暮らしのOLが自宅マンションで他殺体となって発見。
不倫相手の会社員は疑われたまま行方不明。
そんなはずはない、何かの間違いだ、と息子の無実を信じ疑わない母親。
15年前の中学生事故死となんの関係があるのか、そういう事か?と読み手の想像上いく顛末に私は戦慄しましたよ。
だって、中学男子あの時に警察に追われて事故死してからの母親の慟哭、死んでしまっても地獄、事故などなくてそのままの日常が続いていたとしても、いづれは愛する息子の信じがたい裏の顔を目の当たりにする日がくるかもしれない恐怖。
結末が淡い青春か、軽い反抗心か、なんて簡単な話ではありませんでした。

どちらにしても恐ろしすぎる、息子をもつ母親として読むには壊れていく母親の心情も想像できるだけに怖い話でした。