オリンパス ペンF 修理記録(1) | ちんちくりん的視点 “warped view”

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この春、とうとうPEN-Fがデジタルになって復活しました

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往年のPEN-Fを思わせるレトロ&マニアックな作りに、思わず心がぐらぐらと揺さぶられます…

欲しい!!

というわけではなくて、
長い間の懸案だったこいつを

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直したい!!

という、またこっち系の話しなのでした


本家本元、オリジナルのPEN-Fです

完全に壊れて動かないわけではないものの、いくつかの不具合を抱えています↓

(1)高速側シャッターは切れるがスロー側がミラーアップしたまま固まってしまう

(2)巻き上げの不安定(レバー2回転でチャージ完了のはずが、2回転+ちょい回さないとチャージされないことがある)

(3)光漏れ(ほぼ一定の場所、間隔で感光あり)

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分解掃除して注油してモルトの貼り替えをすればわりと簡単に直る軽症だと思うんだけど、貴重な歴史的銘機だし、他にはない独特の構造を持つこのカメラを分解するには、それなりの下準備と心の準備が必要でした

ジャンクカメラいじりにハマったそもそものきっかけは、このPEN-F攻略でもあったのです

というわけで、いよいよ分解に着手☆

ここでは機構の解説や詳しい手順は省いて、分解と組立てのポイントを絞って記録しておきます


●シャターユニットの修理

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トップカバーを開けます。ここまでは過去記事のPEN-SやPEN-Dなどと基本的に同じです


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裏蓋を開けて、矢印のネジを外します。このレバーがシャッターユニットとミラーボックスをつないでいます。この個体は他の文献やWebなどに載っているものと少し構造が違うようです(初期型かな?)


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革を剥いで、フロントパネルの5本のネジを外します。マウントは必要ならネジを少し緩めます。外してしまわない方が何かとよさそう
速度ダイヤルはネジ2本で外れます


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フロントパネルを注意深く引き抜くとミラーボックスごと外れて、シャッター部が現れます。丸印の3本のネジと裏側(フィルム室側)にあるネジ(↓赤丸印)でシャッター部が外れます

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※フィルム室にあるもう1本のネジ(青丸印)には触らないこと。たしかこれはピント調整のためのネジだとか?(未確認情報)


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ミラーボックスとボディとシャッターユニットが外れたところ

(1)の不具合、低速シャッターが切れないのはガバナーの固着と推察できるので、まずこれを洗浄・注油します

シャッター幕を外したいところだけど、ネジが固まっててなかなか外れない…しかもドライバーがまっすぐ入らない場所だ。ネジ山を潰して面倒なことになってしまった覚えが何度もあるので、ここは無理したくない

仕方ないのでシャッター幕ごとベンジンの海へドボン!

乱暴なようだけど、まあたぶん大丈夫でしょう(?)

20〜30分放置してから引き上げると、汚れも取れてスッキリ


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ガバナーへの注油は、ベンジンに数滴垂らしたスピンドルオイルを筆で少しずつ塗っていきます。こうすると油の注しすぎを防ぎ、わりと均一に行き渡らせることができます

※洗浄が完璧に出来れば注油はむしろしない方がよいというのが、名人・中 一訓氏の教えです。余計な油分は将来の不具合を生む原因になるからです。なので作業は慎重に


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シャッター部を再度ボディに取り付けるんだけど、このまま取り付けても(2)の巻き上げレバーの不具合が直っていません

シャッターをチャージした状態にして一旦取り外し、巻き上げレバーを数回カラ回ししてから再度取り付け直します。これで無駄な遊びが解消されて、レバー2回転でチャージされるようになりました

さて、これでシャッターは直ったかと思いきや、高速は軽快に切れるのに低速は相変わらず途中で止まってしまいます…あれぇ?なんでだ?

しばし思案&試行錯誤…

(中略)

わかりました、ふたつの小さなバネが外れていました


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矢印のバネと、丸囲みした辺りに隠れていた小さなバネ、、、


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こいつです(いずれも写真の状態が正しい位置)





これで、高速側も低速側も軽快にシャッターが切れるようになりました


つづく


〓ちん〓