イギリス南部の田舎に住んでいます。

 

ある日のこと、ファームショップで

買い物をした帰り道、一人で歩いていたら

ご近所の老夫婦に出くわしました。

 

もうすぐチャリティのためのショーがあるの。

知り合いのピアノの先生が監督するのだけど

内容はよくわからないけど、行ってみない?

 

ど田舎暮らしは文化に飢えていますので、

2つ返事で快諾しました。

 

時間や日時の詳細は、わかったら

うちの夫にメールするねとのこと。

 

当日。

 

メールの詳細を確認した夫が、

 

ディナー出るって言ってるよ。

ベイクドポテトだって。

ユーはまだ食べたことない料理だよ。

でも、ユーは食べられないと思うから、

家でご飯食べてから行きなさい?

 

場所は、村の村民会館。

チャリティに熱心な村のおかあさんたちが、

食事を作って出してくれるのでしょう。

 

有り難く頂きたいところですが、

どんな味で出てくるかわからないので、

素直に夫に従いました。

 

ご近所さんの運転で村民会館に着くと、

受付には、ピンクの羽根飾りが大量に付いた

大きな帽子を被った70代のご婦人が。

 

オードリー・ヘップバーン(イギリス人です)が

マイフェアレディで被っているような帽子に、

ピンクの羽根が大量に付いてる年配女性を

ご想像ください。

 

 

フラミンゴの名前が付く隣町の施設を

支援するためのチャリティでした。

なので、ピンクの羽根飾り。

 

中に入ると、テーマに沿って

着飾った年配の女性たち

- 少なくとも70代、もしかして80代?

が、白いシーツをかけられた丸テーブルの

あちこちに座って、談笑しています。

 

着くまで知りませんでしたが、

テーマは「1920年代」でした。

フラミンゴと何の関係があるのかは謎です。

 

お給仕を買って出たボランティアの

奥さんたちも明らかに70代ですが、

服装がおかしい。

頭にみんな、おしゃれな羽根を付けています。

でも、なぜか似合っていました。笑

 

席に着いて、飲みながら談笑。

ホールの端には、給食の配膳のような場所が。

 

テーブルごとに呼ばれ、

まるで給食か、戦後の配給のように、

お皿を持って夕飯をもらいに行きます。

 

大きな鍋の前で、

巨大な皮付きジャガイモを

半分にスライスしたものに

目の前でバターが塗られ、

お皿に載せられます。そして、

その隣の鍋の前に行くと、

チリ?

ベークドビーンズ?

 

と聞かれ、選んだソースが

ばしゃーっとジャガイモに掛けられます。

 

さらに進むと、

チーズかける?

コールスロー要る?

ツナも要る?

 

と、大きなスプーンで

バシャン、バシャンと

お皿に盛られていきます。

 

そして出来上がった私の一皿はコレ。

 

 

コールスローとツナマヨは

テスコの出来合い品で

全然美味しくなかったのですが、

 

なんと、驚いたことに、

この手作りチリソースが絶品で!

 

チリソースとは、

日本で言うところのチリコンカンのことです。

牛ひき肉とキドニービーンズの煮込み。

スパイスは使いますが、辛くないです。

 

イギリスの脂肪分が少ない牛ひき肉で

上手な人が作ると、

こんなに美味しいんだと目から鱗。

日本の牛ひき肉は脂肪分が多いので、臭みが出やすいので。

 

どこの奥さんが作ったんだ?と、

知りたかったほど。

 

そもそも、

イギリスはジャガイモが美味しいので、

そこに美味しいチリソースにプロセスチーズの

組み合わせを載せると、まぁ、美味しいこと!

コンフォート・フード(B級グルメ)の

頂点な感じでした。

 

感動していると、

催しものが始まりました。

 

演技も交えての、

1920年代のお歌のオンパレード。

 

 

言葉は悪いですが、

まさに、お年寄りの学芸会。

出演者はもちろん、村民です。

でも、茶目っ気たっぷり。

 

コロナ感染で、出演者は半分になって

しまったそうですが、讃美歌で鍛えた

ご自慢の喉を聴かせてくれました。

 

イギリスは草の根の演劇活動が

根付いている国で、

他の村で、村民が演じる

パントマイム(歌も歌うコメディ劇)

に行ったこともあるのですが、

普通の素人なのに、

光る演技を見せる人もいました。

 

たぶん、イギリス全土でこんな感じで

普通に演劇会してるのだろうと思います。

さすが、シェイクスピアを生んだ国で、

その草の根力?には驚きます。

 

そして、日本との大きな違いは、

人を呼んで来ずに自分たちが演者になること。

 

お金を使う場合は、脚本や監督に。

なんと、自分たちの劇のために

プロに脚本や監督を頼んだりまでします。

衣装は婦人会で協力して、縫い上げます。

 

日本の田舎ですと、

名前は知られていない劇団や

演歌歌手の方などを招いて、

大きな公民館などで催し物しますが

ベクトルが一方通行ですよね。

 

大きな公民館の壇上から、

不特定多数に向けて、一方的に楽しませる感じ。

お客さんもご夫婦や友人同士で来て、

帰るだけ。

 

でも、こちらでは自分たちが出演します。

出演者の顔は、普段知ってる人たち。

そして、カクテルや軽食を出して

村民同士が社交する時間を設けるので、

ベクトルが双方向。なので、

村民同士の結びつきがまだあるというか。

 

日本の昭和初期のような

小さくて濃いコミュニティが

まだ生きている感じです。

 

その空気感を知った上で

イギリス映画を観ると、

笑いが止まらないものが、

何本かあります。

 

『Saving Grace』とか、

マギー・スミスの『Keeping Mum』とか。

 

でも、一番好きなのは、

なんといっても『ウェイクアップ!ネッド』。

 

 

 

 

舞台はアイルランドですが、

村民一丸となって

あることに取り組む爆笑物語です。

 

日本では薄れてしまった

コミュニティの結びつきが、

イギリスの田舎にはまだ残っているんですよね。

 

また、私は演劇に詳しい訳ではないですが、

イギリスに住むようになってから、

三谷幸喜作品を観ると

なぜかイギリスを感じるようになりました。

 

日本でイギリスが根強い人気を見せる

理由の一つには、昔懐かしい感じがする、

というのもあるのかもしれません。

 

今日は、

イギリスの公園にある古いパゴダ。

 

 

 

イギリスの田舎にある大きな公園には

大体あるようです。何回か見掛けました。

 

実はこれ、パゴダではなく、

昔、音楽隊が来て演奏する場所だったとのこと。

 

TVどころかラジオもなかった時代、

市民の娯楽は公園にやってくる音楽隊の

演奏を、公園の芝生に座って

聴くことだったようで、

 

何でも大事に残すイギリスでは、

今となっては時代の遺物になっている

このような建物も、まだ残されています。

 

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