中国の経済発展と共に台湾承認国は世界で減少してきているのだ。
つまり、途上国の多くは自国のメリットを考える。
もっと簡単に言うと、どのくらい援助してくれるか、輸出でどのくらいメリットがあるのかで判断しているのだ。決して政治的信条ではない。
中国は一帯一路を提唱していて、世界の途上国にお金をばらまき、インフラ整備や経済協力をする政策を行っている。
理想はいいのだが、スリランカなどのように実際は中国の利益優先の実態が表面化してきて、危険だという視点も出てきている。中国への債務が膨らむだけで、経済的効果や技術的ノウハウが残らず借金漬けになるというケースが出てきている。
実際、スリランカはハンバントタ港の建設費用が返済できず中国債務のかたとして、港湾の99年間のリース契約を結ぶということになってしまった。
リースと言えば聞こえがいいが、要するにスリランカの港を中国が自由に使えるということ。
いわば、合法的にスリランカの領土を奪ったに等しいのだ。
中国の軍艦が入っても問題ないことになる。スリランカに中国の軍事基点を持つことにもなりかねない。この中国の戦略がインドやアメリカの危機感を刺激。スリランカ1国の問題ではなく、国際政治にも大きな影響を与えている。
話を戻そう。
特に中南米の国は台湾支持国が多かったんだけど、ここ3,4年でかなり中国側に変わったのだ。エルサルバドルやホンジュラス、ニカラグアなどがそうだ。
現在台湾を承認している国は、バチカン市国やソマリランド、ツバルなど小国ばかり。
そんな中で南米で唯一台湾を承認して、小国ではない国がパラグアイだ。
パラグアイが台湾承認している理由は、歴史的な関係だけでなく、民主主義の政治体制も大きいように思う。台湾ももちろんパラグアイに援助しているしね。
パラグアイは大豆の産地なので、中国への輸出が増えるから中国に変更したらというパラグアイの政治家もいた。
実際、南米のブラジル、アルゼンチンと言った大国が中国の貿易で利益を得ている。
輸出に関しては、10億以上の人口を抱える中国の方が台湾より圧倒的に有利だ。市場規模が全然違うからね。
だけど、結局選挙で、パラグアイは台湾との付き合いを優先したのだ。凄い決断だったよね。
そこに切り崩しに来たのが習近平氏の中国外交官。
その中国の外交官は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の会合に中国代表団の一員としてパラグアイに入国。そして、中国に好意的な野党議員2人と会談した後にパラグアイ議会で発言したらしい。
そこで激怒したのがパラグアイ政府。
その中国下級外交官1人のビザを取り消し、24時間以内の国外退去を命じたのだ。
事実なら、中国のスパイ活動と言っても過言ではないだろう。
なかなか思い切った決断だね。
中国政府もここまでしてくるとは思わなかったのではないか。それとも予想済みだったのであろうか。
今回は外交官が正攻法でやったけど、南米の周辺の国、アルゼンチン、ブラジルなどは中国との国交を結んでいるのだ。そこから、いくらでも中国はパラグアイに圧力をかけられるだろう。
台湾としてはパラグアイは超大事な国になったね。
新しい台湾総統は、ツバル、グアム、ハワイなど太平洋の国やアメリカの拠点を訪問している。
中国も不動産が下落し、経済もかなり冷え込んで来ていると言われている。
そういうものも国際政治に影響しているんだよね。