北朝鮮劇団 北京公演ドタキャンのインパクト
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151213-00096490-toyo-int&p=1
『北朝鮮の金正恩第1書記肝いりの楽団「モランボン楽団」が、北京での初の外国公演をキャンセル。
その理由について様々な憶測が乱舞している。
12月12日から中国・北京で公演する予定だった北朝鮮のモランボン(牡丹峰)楽団。
初の海外公演となるところが、12日当日になって公演がキャンセルされ、団員は全員帰国するという事態に陥った。
北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が本格的政権を担い始めた2012年に結成されたのが、同楽団。
金第1書記肝いりの芸術団体とされるモランボン楽団にとって初の海外公演となるはずだったが、キャンセル・帰国したことに、さまざまな憶測が乱舞している。
■ 3日連続で公演をする予定だった
12日、宿所を出たモランボン楽団一行は、北朝鮮の池在龍(チ・ジェリョン)中国大使とともに会場の国家大劇院に向かうと思われたが、そのまま北京首都国際空港に向かい、そのまま帰国してしまった。
同日午後7時半からの公演予定には、北朝鮮と中国両国の高官らが約2000人招待され、14日までの3日間にわたって、公演を行う予定だった。
気になるのは、キャンセルになった理由だ。
中国の新華社は「業務上行き違いが生じた」と報道。もしそれが本当であれば、その程度のコミュニケーションの問題も解決できないほど、中朝間のパイプが機能していないのかとの疑問も湧く。
ちょうど2年前、北朝鮮で権力ナンバー2とされ、中国との太いパイプを持っていた張成沢(チャン・ソンテク)書記が処刑されて以来、中朝関係が冷却。
ようやく今年10月になって、平壌での朝鮮労働党創建70周年記念行事に中国から共産党序列5位で政治局常務委員の劉雲山氏と金第1書記が面談したことを契機に、両国関係が改善されたとの観測が支配的だった。
■ 北朝鮮の水素爆弾保有発言に中国が反発?
今回のドタキャンの真の理由はいまだにはっきりしないが、現段階では12月10日に金第1書記が現地指導の際「水素爆弾の巨大な爆音をとどろかせることのできる強大な核保有国になれた」と、同爆弾の保有について朝鮮中央通信が報道したことが引き金になったという見方が有力だ。
この発言に中国指導部が反発、北朝鮮が望んでいた習近平国家主席をはじめ観覧予定の中国要人が欠席を決め、これに北朝鮮が反発してキャンセルになったという説明だ。
また、「業務上の行き違い」が原因であるとすれば、「公演曲目の内容やレパートリーを決定する際に、政治的な思惑で対立が生じたのではないか」(中国の北朝鮮筋)という理由も考えられる。
モランボン楽団のレパートリーの中には、北朝鮮が「人工衛星」「ロケット」と呼ぶミサイル発射を讃える歌や、金第1書記をはじめ最高指導者を賛美する歌が多い。
その歌詞の内容や演出の仕方について中国側が難色を示した、との見方も有力である。
これに北朝鮮側が反発してキャンセルにつながったという見立てだ。
いずれにしろ、複数の理由が絡み合っているに違いない。 2016年中に、金第1書記の初外遊となる中国訪問が決定している。
今回、その露払いとして、金第1書記肝いりのモランボン楽団を送り込んだと考えられていた。
北京公演の代表団の団長には、労働党の崔輝(チェ・フィ)宣伝扇動部第1副部長が選ばれている。
また9日に出発する際の平壌駅には金己南(キム・ギナム)宣伝担当書記やリ・チャングン同党国際部副部長、外務省で中国担当の李吉聖(リ・ギルソン)外務次官など、錚々たるメンバーが姿を現した。
これは、北朝鮮側が今回の公演に並々ならぬ力を入れていた証左だ。
■ 訪中“確実”から不透明に
歴史を振り返ってみても、今回のような芸術公演が中朝関係に重要な役割を果たしたことがある。
1960年代、中ソ紛争のあおりで北朝鮮と中国の関係が悪化した際、北朝鮮の革命歌劇「花売る乙女」が中国国内で公演されたことがある。
この歌劇のヒロインが中国国内で評判となり、これが中朝関係改善の一躍を担ったと評価されている。
金第1書記の露払いとされた今回の公演がドタキャンになったことで、訪中の可能性は一気に低下したことになる。
金正恩政権が発足して丸4年。本格的な外交デビューはまだまだ先になりそうだ。』
北朝鮮の金正恩第1書記肝いりの楽団「モランボン楽団」が初の海外公演となる北京公演をドタキャンした。
ドタキャンにしても有り得ない当日ドタキャンだ。
ホテルから公演予定の劇場ではなく、空港に行って即帰国という漫画やドラマのようなドタキャン劇だった。
今回の「モランボン楽団」ドタキャンは、単なる北朝鮮の劇団の海外公演が中止になったというのではない。
この「モランボン楽団」は北朝鮮の独裁者、金正恩第1書記肝いりの楽団だ。しかもその海外公演を鑑賞する人物も中国政府関係者など選りすぐった人物のみだった。
一般の中国人や外国人がいくら大金を払っても鑑賞できない、政治的公演であった。
今回の「モランボン楽団」公演は、来年には金正恩第1書記が中国訪問を予定していた為、政治的土壌均しという意味合いが強かっただろう。
同じ共産主義国であった中国と北朝鮮は昔は同志のような関係で兄弟とも言われていた。弟である北朝鮮がやんちゃな行動を起こしても、兄である中国がたしなめたりして西側諸国に対してもバランスを取っていた。
ところがかつてと違い、現在は世界情勢が大きく変化した。
最近では中国が資本主義要素を取り入れて経済発展を遂げてから、北朝鮮が敵と看做している韓国と急接近。
資本主義vs共産主義という対立は、中国の経済発展から大きく様変わりをしてきた。
中国だけでなく、韓国の方もかつて朝鮮半島情勢を巡って同調していた日本やアメリカの国々よりも中国重視を打ち出している。経済的にも中国依存が高まった。
民主党時代の無様な外交政策によって、日本に対する歴史問題を始めとする反日政策と領土問題で中国と韓国は一致団結する共通要素を見つけた。というより、そういう環境を日本が提供してしまった。
一方、北朝鮮からして見ればまさかの中国と韓国急接近。そしてその分、かつては兄弟とまで言われてきた北朝鮮と中国は疎遠になってきた。結果として、北朝鮮は孤立を深めてきた。
かつての冷戦時代であれば、北朝鮮は中国がダメならソ連(現在のロシア)に頼る政策をうまく使い分け利用してきたが、現在のロシアは北朝鮮などほとんど眼中にない。
同じ共産主義とは言え考え方の違いで中国とソ連は対立していた時代もあったが、今の中国とロシアはそういう関係ではないし、北朝鮮にして見れば頼るところがなくなってしまっている。
今までは多少無茶な事をやっても、国連の常任理事国である中国が後ろ盾になって北朝鮮批判を回避させてきた部分があるが、今は韓国との関係が密になり、そういう部分も薄れてきた。
若い金正恩(キム・ジョンウン)第1書記はそういう外交政策をほとんど考えていないように見える。突然、世襲制で金正日総書記から引き継いで独裁者になったけど、世界の仕組みがわからず、政府関係の仕事もほとんどせず、若くしていきなり独裁者になったのだ。
北朝鮮では政府部門ごとに権力争いがあると言われており、独裁者に嘘八百が乱れ飛ぶ状況らしい。
人間不信になった部分もあったのではないだろうか?
とにかく北朝鮮で絶対的権力を握った金正恩第1書記は、その自分へのリスペクトやプライド尊重を外国にも求めているが、経済力もない小国のわがまま独裁者をそんなにリスペクトする国はほとんどないよね。
政権を握ってから4年も経つのに、金正恩第1書記は本格的な外交デビューをしていない。それってちょっと異常事態では?
言い換えれば、各国の要人と個人的な関係がほとんど築かれていないと言ってもいいだろう。
だからこそ、今回金正恩第1書記肝いりの楽団「モランボン楽団」が、北京での初の外国公演をして、来年の中国北朝鮮による首脳外交の機運を盛り上げる為に計画されたものだったのだ。
この「モランボン楽団」公演が一般人には門戸を開かず、中国の政府要人の招待制としていた事にもそれは現れている。
ところが、その「モランボン楽団」公演を北朝鮮はドタキャンしてしまった。
そのドタキャン理由は謎だ。
謎ではあるけど、「水素爆弾の巨大な爆音をとどろかせることのできる強大な核保有国になれた」と、金正恩第1書記が言った事に中国政府トップが反発したというのが一番大きいと僕は思う。
かつて中国は北朝鮮のやんちゃぶりに鈴とつけて、世界で中国の立場を強めてきた。でも最近は北朝鮮が中国の言う事を聞かなくなってきて中国政府もイライラしている部分がある。
逆にそうでなければ、北朝鮮に配慮して、表立っての韓国との急接近もなかったと思う。
金正恩第1書記は権力を握って、中国と太いパイプがあったと言われる北朝鮮で権力ナンバー2だった張成沢(チャン・ソンテク)書記を処刑した。
大した裁判もかけず、自分の後見人と言われていた張成沢氏を瞬く間に処刑した事は、驚きをもって世界中を駆け巡った。
と同時に、自分の姻戚関係者で政府中枢を担っていた張成沢氏のような人物でも、気に入らなければ簡単に排除する金正恩第1書記の凶暴性も明らかにした。
何の実績も人脈もなかった金正恩第1書記が、中国と太いコネクションを持っていた張成沢氏に脅威を感じていたのかもしれないけれど、とにかくこれで中国との外交関係は止まってしまった。
中国パイプが一度切れた感じになったからね。
それに金正恩第1書記が中国首脳と個人的な関係が築けていない中での突然の張成沢氏の処刑だったから、中国政府にしてみれば不信感が募った事だろう。ある意味、中国軽視とも取れるよね。
今回、なぜこのタイミングで金正恩第1書記が「北朝鮮が強大な核保有国になった」発言をしたのか? 意味不明。普通の指導者であれば、例え思っていても影響を考えて公言しないのではないか?
今は何が何でも中国との関係を修復しないといけないはずだった北朝鮮。経済的に破綻し、外交関係的にも一部の国としか交流がない状態で孤立を深めている状況だ。
金日成主席や金正日総書記時代は、まだトップレベルでの人的交流があった。金正日総書記も晩年、世界情勢を考慮してたびたび中国訪問をしていた。
北朝鮮にとって重要な中国やロシアといった国には、直接訪問して意見交換をしてきた。若くして独裁者になった金正恩第1書記にはそれがない。
自分への批判が聞こえそうな外交には消極的といった印象があるんだよね。
今回の「モランボン楽団」のドタキャンは金正恩第1書記の指示だったのは間違いない。政治的な公演だったからね。
推測するに、中国政府指導部から何か要求を突きつけられて、短気な金正恩第1書記は怒り、これからの国際関係を考えずに、北朝鮮国内でやっているのと同じように一時の感情でドタキャンにしてしまったのではないだろうか?
今の北朝鮮では金正恩第1書記に意見を言おうものなら自分の命が危うい状況になるから、例えまずいと思っても誰も止められなかったのではないか?
そんな風に思う。
理由が何であれ、今回のドタキャンは北朝鮮にとってかなりの代償が支払わされるだろう。
本当に北京での「モランボン楽団」公演を計画しなければ良かったと思うよ。
内部的に色々問題があったとしても、通常表向きは世界に向けて外交関係改善のアピールする方法を取るのが中国だ。見方によっては、「モランボン楽団」公演ドタキャンは中国人の一番大事な面子を潰したようにも取れる。
中国政府要人には北朝鮮トップの金正恩第1書記は話し相手にならないというような印象を与えただろう。
それだけでなく、中国国民にも無礼な態度をした北朝鮮をこれから擁護する必要はないという風潮も作ってしまった。これで来年の北朝鮮の金正恩第1書記が中国訪問する可能性は極めて低くなったね。
ただ、あまりに北朝鮮を孤立させると暴発する可能性も高くなる。非常に怖いんだよ。 独裁国家である北朝鮮では金正恩第1書記が自暴自棄になれば何が起きるか予測不可能だ。
北朝鮮国内では恐らく誰も止められないだろう。
金正恩第1書記が精神的に病んでくれば、核爆弾までいかなくても周辺諸国に突然ミサイル攻撃をしかけてくるかもしれないし、イスラム国(IS)などテロリスト達と協力し始めるかもしれない。
はたまた、コンピューターハッキングや偽札発行などにより社会システムや経済システムに裏から攻撃をドンドンしかけてくるかもしれない。
また突然朝鮮戦争を起こす可能性もなくはないのだ。
そうなると日本も関係ないと言ってはいられないよね?
いつ日本が攻撃にさらされるかもわからないんだよ。日本は北朝鮮とは距離的にも非常に近いんだから。
もし朝鮮戦争が勃発したら、もし北朝鮮が崩壊したら何万と言うボートピープルが北朝鮮から日本へ押し寄せてくる。
日本は北朝鮮難民を人道主義の観点から、受け入れざるを得ない。そうなると、今のヨーロッパ難民問題以上に非常に深刻な難民問題に突入する可能性大だ。
北朝鮮国民の民族的な感情やこれまでの政治的環境を考えると、今のヨーロッパより問題はもっと複雑になるだろうね・・・。
今回の「モランボン楽団」ドタキャンが、北朝鮮の外交政策の分岐点になるかもしれないんだよ・・・。
北朝鮮が外交面において一番重要視しないといけない中国に対しての大失点だからね。
西側諸国との経済的交流がほとんどない北朝鮮は、中国からの輸入がストップすると国が崩壊するかもしれないくらいの深刻さだ。
さすがに中国政府もそれぐらいはわかっているだろうから、金正恩第1書記を追い詰めすぎると危険な事は理解しているだろうから、それ程ムチャはしないと思うけど、今回の事件で中国政府指導部が様々な面で北朝鮮に厳しく当たる事は予想できるよね。
北朝鮮がそういう状況に陥ったとして、凶暴性を持つ金正恩第1書記が自暴自棄になって暴走しないと誰が言い切れる? 言い切れる人が一体どれだけいる?
周りが見えなくなった独裁者ほど怖いものはない。
金正恩第1書記肝いりの楽団「モランボン楽団」の初の外国公演ドタキャンは、それだけ将来的に大きいインパクトを持っているのである。