「いやー、今日は売れたなぁ。」


それもそうだ。


今日はみんな給料日後だし、なんたって今月は世間一般ではボーナス


というものを貰っているからだ。


まぁ、オレには関係ない。


服屋にボーナスなんてものはない。




オレの名前はタツヤ。あだ名は『N県の三井』。


3ポイントなら誰にも負けない。


ただ、あの最後の大会で1本外しちまったな…あれ決めてたら優勝だったのに。


って今でも悔やむ。






「よし!ここだな。」



ガラガラ…



「いらっしゃいませ~!」



「OB会ってやってます?」



「あぁ、こちらです。」



「タツヤ!こっちこっち!」



そこには、マコト、リョウ、ヨウスケが3人で飲んでいた。



「おぉ、お前ら久しぶりだな!全然変わってないじゃん。」



「タツヤこそ!まだバスケやってんのか??」



「ああ、最近またやり始めたんさ。NBBの体育館出来たじゃん?毎日行ってるよ。」



「これで、あの頃のスタメン4人が集まったな。」



マコトが言った。



「後は、あいつだけだな!」




つづく。


週末、夜の繁華街。

会社に帰る作業車から見るいつもの景色とは違う色に見える。

特に最近は納期に追われていたせいもあり、気を休める時間がなかった。

だから今日は思い切ってハメを外そうと思ってるんだ!!

ガサゴソ…

ポケットに手を入れ一枚の紙を取り出す

[バスケ部OB会のお誘い]
親友と呼べる人間がみんなにはいるかい?

俺はバスケの同じチームの仲間は胸はって言えるぜ!
俺の名前はリョウ。高校の時はレインボータワーって呼ばれるくらい県内では有名なセンターだったんだ!卒業してからは設備屋になって皆にはなかなか会えてないから今日は楽しみだぜ!

ガラガラ…

店に着きドアを開ける

「いらっしゃいませ~一名様ですか?」

「いや、今日はOB会で。」
「あ、は~い!予約のお客様入りま~す」

案内されるまま店の階段を上ると盛り上がっている団体がいた

「リョウ先輩!!」

「リョウ!」

懐かしい顔と懐かしい声。久しぶりの空気に戸惑いながらもテンションは上がる

「ちぃ~っす!レインボー参上!」

軽く先輩に挨拶してから空いてる席を探す。その時…
「よう!リョウ、元気だったかYO?」

この声、サブいギャグはアイツしかいない…

「ひさしぶりだなぁ!ヨウスケ。相変わらずお前サブいわ」

「きっつぅ~さすがのレインボーだな!」

こいつはヨウスケ。俺達が準優勝した時のうちのガード。お調子もんだがパスセンスは抜群だ。

「あっちにマコトもいるから行こうぜ!」

「マコトも来てんのか?アイツもひさしぶりだな。」
ヨウスケの後について行くとマコトが一人酒を飲んでいた。俺が近づくと俺に気づいたみたいだ。

「おう!リョウ!」

「おう!マコト!花屋は良好か?」

「まぁ~ぼちぼち。」

「相変わらずマイペースだなお前は。」

「そういうお前はどうなんだよ?」

「まぁ…。ぼちぼち?」

「ハハっ、お前も一緒じゃねえか!」

時間は経ってるけどこのノリはあの頃のままだ…

その時は本当にそう思っていたんだ…。

ガラガラ…

「いらっしゃいませ~!」
誰か来たみたいだ。

つづく

ザー…ザザ…

「先週末日本列島を騒がした、台風30号は今朝太平洋へとぬけていきました。例年より1週間ほど早いですが、いよいよ夏本番と言ったところでしょうか…」


俺は、配達中ラジオから聞こえてくる聴きなれた声に耳を傾けていた。


(そっか…また夏がくるのか。)


昨日までの大雨がウソのように、雲ひとつない青空。


ギラギラした日差しが車内の温度をグングンあげていた。


「今日は各地で30℃を越えるところが多いようです。…東京都内35℃、神奈川34℃…仙台34℃…札幌30℃…今年の夏は、過去10年で一番の猛暑になると予想されています…今週末には、海水浴に出掛ける家族も多いのではないでしょうか?…では、次のニュースです…」


(一番の猛暑?勘弁してくれよ。)


(でも、どんなに暑くったって「あの夏」より暑い夏なんて、この先きっとこないんだろーな…)




俺の名前はマコト。23歳。好きな食べ物は甘い物、嫌いな食べ物は辛いもの。


仕事は実家の花屋を手伝っている。


いい学校も出てないし、大企業に勤めてる訳でもない。


そんな俺だけど、1つくらい人に自慢できるものだってあるさ。


それは5年前の夏…


全国高等学校総合体育大会バスケットボール選手権大会N県予選会


その決勝のコートに俺はスタメンとして立っていた。


結果は惜しくも決勝戦で負けちまったけど、県準優勝ってすごいだろ?



今覚えば、あの頃は楽しかったな…


一緒に汗を流した仲間がいて、腹を抱えて笑ったり、悩んだり、悔しくてないたりして…


どっかの偉人が一緒に汗を流した仲間は一生の財産だって言っていた。


俺もそう思う。


高校を卒業してから、バスケ部の皆はバラバラになってしまった…美容師になったやつ、証券マンになったやつ、ショップの店員をやっているやつ、現場仕事をしてるやつ…


でも、どこで何をしていようが俺は変わらないし、あいつらも変わらないと思っていたんだ。





俺が配達を終えて、いつものように家に帰ると俺宛の封筒がポストに入っていた。


封を切り、なかの紙を取り出すと、すぐに表題に目がいった。


そこにはバスケ部OB会のお誘いと書いてあった


つづく