ザー…ザザ…

「先週末日本列島を騒がした、台風30号は今朝太平洋へとぬけていきました。例年より1週間ほど早いですが、いよいよ夏本番と言ったところでしょうか…」


俺は、配達中ラジオから聞こえてくる聴きなれた声に耳を傾けていた。


(そっか…また夏がくるのか。)


昨日までの大雨がウソのように、雲ひとつない青空。


ギラギラした日差しが車内の温度をグングンあげていた。


「今日は各地で30℃を越えるところが多いようです。…東京都内35℃、神奈川34℃…仙台34℃…札幌30℃…今年の夏は、過去10年で一番の猛暑になると予想されています…今週末には、海水浴に出掛ける家族も多いのではないでしょうか?…では、次のニュースです…」


(一番の猛暑?勘弁してくれよ。)


(でも、どんなに暑くったって「あの夏」より暑い夏なんて、この先きっとこないんだろーな…)




俺の名前はマコト。23歳。好きな食べ物は甘い物、嫌いな食べ物は辛いもの。


仕事は実家の花屋を手伝っている。


いい学校も出てないし、大企業に勤めてる訳でもない。


そんな俺だけど、1つくらい人に自慢できるものだってあるさ。


それは5年前の夏…


全国高等学校総合体育大会バスケットボール選手権大会N県予選会


その決勝のコートに俺はスタメンとして立っていた。


結果は惜しくも決勝戦で負けちまったけど、県準優勝ってすごいだろ?



今覚えば、あの頃は楽しかったな…


一緒に汗を流した仲間がいて、腹を抱えて笑ったり、悩んだり、悔しくてないたりして…


どっかの偉人が一緒に汗を流した仲間は一生の財産だって言っていた。


俺もそう思う。


高校を卒業してから、バスケ部の皆はバラバラになってしまった…美容師になったやつ、証券マンになったやつ、ショップの店員をやっているやつ、現場仕事をしてるやつ…


でも、どこで何をしていようが俺は変わらないし、あいつらも変わらないと思っていたんだ。





俺が配達を終えて、いつものように家に帰ると俺宛の封筒がポストに入っていた。


封を切り、なかの紙を取り出すと、すぐに表題に目がいった。


そこにはバスケ部OB会のお誘いと書いてあった


つづく