レット症候群患者の個々の重症度を数値化して評価するための指標CSS (Clinical Severity Score)。
13項目中、3つめ。


[3] Head growth (頭囲成長)


スコア 頭囲Occipital Frontal Circumference (OFC)で見た成長抑制
0 None to minimal deceleration (0-1 centile)
1 OFC > 10th after 24mos, Deceleration > 2 centile
2 2nd - 10th centile after 24mos
3 2nd - 10th centile before 24mos
4 < 2nd centile before 24mos


最高評価の0(ゼロ)は、頭囲の成長の抑制がないか、最小限の抑制にとどまる場合(0-1 centileが何を意味するのかはよく分からない)。


スコア1は生後24カ月後の頭囲が(一般集団の下位から)10パーセンタイル超の値(Deceleration > 2 centileが何を意味するのかはよく分からない)。


スコア2は生後24カ月後に頭囲が2-10パーセンタイルの範囲の値となる。


スコア3は生後24カ月前に頭囲が2-10パーセンタイルの範囲の値となる。


スコア4は生後24カ月前に頭囲が2パーセンタイル未満の値となる。


 頭囲の成長を指標にこの項目のCSSの値を出すためには、少なくとも


(1)一般集団の頭囲の測定値、分布(パーセンタイル値)。
(2)患者自身の生後24カ月時点の頭囲の測定値


の両方が必要となる。


 また、頭囲の成長抑制がシビアでない(スコアが0-2の)場合ならば、生後24カ月より後の値も必要ということになる。


 しかしながら、日本では、学校検診で頭囲測定が項目に含まれていないので、7歳以上頭囲に関するデータが入手できないかも知れない。
(つづく)

 歯科矯正を保険診療の対象とできる<別に厚生労働大臣が定める場合>(保険医療機関及び保険医療養担当規則 第21条9号ただし書き)とは何か。


【療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成十八年厚生労働省告示第百七号)】


という掲示事項がそれに該当する。


 ただし、二年ごとの診療報酬改定に伴って見直しが行われており、平成27年現在有効な掲示事項は、


【平成26年厚生労働省告示第56号】
【療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部を改正する件】


に掲げられた改正までが適用されたものとなる。


 本件に関連する掲示事項は、そのうちの「第十一」の部分。


第十一 療担規則第二十一条第九号ただし書の矯正に係る厚生労働大臣が定める場合


一 歯科点数表第二章第十三部区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の規定により別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行う唇顎口蓋裂に起因した咬合異常における療養であって歯科矯正の必要が認められる場合


二 歯科点数表第二章第十三部区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の規定により別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行うゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)、鎖骨・鎖骨・頭蓋骨異形成、クルーゾン症候群、トリーチャーコリンズ症候群、ピエールロバン症候群、ダウン症候群、ラッセルシルバー症候群、ターナー症候群、ベックウィズ・ヴィードマン症候群、尖頭合指症、ロンベルグ症候群、先天性ミオパチー、顔面半側肥大症、エリス・ヴァン・クレベルド症候群、軟骨形成不全症、外胚葉異形成症、神経線維腫症、基底細胞母斑症候群、ヌーナン症候群、マルファン症候群、プラダーウィリー症候群、顔面裂、筋ジストロフィー、大理石骨病、色素失調症、口・顔・指症候群、メービウス症候群、カブキ症候群、クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群、ウィリアムズ症候群、ビンダー症候群、スティックラー症候群、小舌症、頭蓋骨癒合症、骨形成不全症、口笛顔貌症候群、ルビンスタイン―ティビ症候群、常染色体欠失症候群、ラーセン症候群、濃化異骨症、六歯以上の非症候性部分性無歯症、チャージ症候群、マーシャル症候群、下垂体性小人症、ポリエックス症候群(クラインフェルター症候群)又はリング18症候群に起因した咬合異常における療養であって歯科矯正の必要が認められる場合


 上記掲示の第十一の一号の「唇顎口蓋裂」、及び、同二号の「ゴールデンハー症候群」以下列挙された46種の疾患のいずれにも、「レット症候群」は含まれない。


 結局、現在のところ、「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当していないので、レット症候群に起因した咬合異常が存在し、それに療養としての歯科矯正の必要が認められるとしても、保険診療の対象とはならない。


 対象疾患の範囲は、診療報酬改定に伴う見直しと共に拡がりをみせており、現在の47という疾患種別は、かつての倍以上となっている。


 次回(来春)の診療報酬改定の際に見直されてレット症候群も加入されたらいいのだがなぁ。


 必要性が高いならば、患者団体等を通じた陳情ということがあってもいいのかも知れない。


(参考)
厚生労働省 医療保険
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/index.html
平成26年度 診療報酬改定

 レット症候群患者は、歯ぎしりによる歯の摩耗や咬合不良など、歯科口腔の問題を有する場合が多いといわれている。


 下顎が突き出る反対咬合が目立つので治療できないものかと歯科医に相談したところ、基本的には手術対応になるけれど、それでも完全な矯正は困難だという回答を得てがっかりしたことがある。


 さて、もし歯科矯正するとしたら、それは保険の範囲内ですることが可能なのか、調べてみた。


 関連する法令・規則は、


【保険医療機関及び保険医療養担当規則】


(昭和三十二年四月三十日厚生省令第十五号)
(最終改正 平成二七年三月三一日厚生労働省令第五七号)


という省令。これを俗に療担規則というらしい。


 具体的な内容は、以下の第21条9号が関係する。


(歯科診療の具体的方針)
第二十一条
 歯科医師である保険医の診療の具体的方針は、第十二条から第十九条の三までの規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。


九 歯科矯正


 歯科矯正は、療養の給付の対象として行つてはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。


 つまり、歯科矯正は健康保険の適用を受けることができない。これが原則。ただし、


別に厚生労働大臣が定める場合


に該当するならば、歯科矯正を保険適用しても良いということになる。

(つづく)