母の事は私が看る。

それをどうしても譲れなかった理由がある。

 

母は言葉がおかしくなってから、落ち込むことが多くなった。

「私はこんなにバカじゃないのに

 どうしてこんなになったかな~…」

私や叔母に不安な気持ちを打ち明けていた。

私たちは

「大丈夫よ!少しくらい言葉が出なくても伝わるから。

 MRIも異常なかったんだから、そのうち元に戻るよ!」

そう何度も励ました。

 

すると母は

「そうね、お母さん頑張るからね!」そう言ってくれた。

その繰り返しだった。

 

 

でも、姉だけは違った…。

 

『負の言葉をごちゃごちゃ言い続けてため息

 やめてほしいわ

 私は子供には迷惑掛けないようにしたいわ』

 

そんなLINEが送られてきた。

 

まだまだ”介護”という段階では全然ない。

母は何でも自分で出来るし、洗濯もしてくれているじゃない。

なのに姉は母に迷惑を掛けられていると言わんばかり。

 

今までも姉の言動にはがっかりさせられたことがあったが、

この時ほどがっかりしたことはない。

母の一番近くにいる姉が

弱気になった母を見て、励ますどころか

疎ましく思っているなんて。

姉に母のこれからを任せることは到底出来ないと思った。

 

姉には母の老後を愛情持って看ることはできない。

この時から私は母を呼び寄せることを考えていた。

 

 

LINEが送られてきたのは

母が倒れる二日前のことだった。