ヤハラヅカサについての諸説 | 雲見人のブログ

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直観を中心に、日ごろ感じた事をざっくばらんに綴っていくブログです。

『琉球神道記』等の文献を調べることで分かること、


ヤハラヅカサとは、アマミキヨが東海楽土にある大東島(うふあがりじま) から渡来して上陸した場所であるということ。

砂浜から扇状に岩礁(リーフ)が広がっており、アマミキヨは、その岩礁に船をつけて、第一歩を印したこと。

王朝時代には、ノロ(女性の神官)たちが、この場所から大東島のある辰巳(南東)の方に向けて祈りを捧げていたこと。


以上がヤハラヅカサについての基本的な知識になります。



昨今は、パワースポットブームもあり、多くの観光客が沖縄の聖地を訪れては、それぞれ自身のブログなどで情報を発信しています。

その中には、知識の不足もあってか、いろいろ首をかしげてしまう情報も多々あります。

特に、ヤハラヅカサについては、いろいろおかしな点が目立ちます。



ヤハラヅカサの紹介画像には、下の画像にも写っている石碑がほぼ100パーセントあります。



それはそれで良いのですが、

その記事の内容・紹介文を読むと、ヤハラヅカサとはこの石碑自体のことだと勘違いしているのではないかという文章内容が少なからずあります。

このヤハラヅカサの碑は、あくまでも、標(しるし) であり、場所の目印となるものです。

この石碑自体がヤハラヅカサ、ということではありません。


最近では、この石碑の根本に香炉が設けられたこともあってこの石碑に向かって合掌したり祈ったりすることが多くなったので誤解を生むのも無理もないことのようにも思いますが・・・・・・。


それから、アマミキヨという神様が天から降りてきてこの石の先端部に足を着けたという紹介もありました。

それらのように、この石碑は、天然・自然のもの、古代からずっとあるものと理解している方がかなりいらっしゃる様に見受けられます。


そこで、ヤハラヅカサの石碑の経緯について紹介。

昭和のいつの頃立てられたのか分かりませんが、少なくとも1990年代の頃には、コンクリート製の四角く細長い石碑が、現在よりもやや陸地に近い場所に立てられていました。

棒状のコンクリート柱なので波に洗われると次第にもろくなり、2003年の台風時に折れてしまい撤去されました。

撤去後、しばらくは、代りに木の棒が立て置かれた時期もありましたが、

2004年(平成16年) から当時の玉城村の教育・文化事業の一環として周辺史跡の整備が始まり、ヤハラヅカサの石碑も、2005年の3月に岩礁上に新調されました。

現在の石碑は、その時に設置されたものです。素材は琉球石灰岩だと思いますが、他所で製作されて運び込まれたもの。高さは、150cmぐらいはあると思います。岩礁の上に設置されているので、間近で見ると大きく感じます。仰ぎ見る感じです。

設置してから10年が経過しているので、波による浸食が目立ってきています。「ヤハラヅカサ」 という文字も一部消えかかっていますし、後面には碑文も刻まれていたと思いますが、ほとんど読めない状態になっています。



※これは、2005年9月に撮影されたもの。画像はネットページ  『沖縄の風景』 より拝借しました。


設置後半年しか経過していないので、まだ真新しく文字もクッキリです。

この時点で、香炉は置かれていません。


次に、今年11月に撮影したもの。


撮影角度の違いはありますが、表面部がかなり波によって削られてきていることが分かると思います。

石碑の根本に香炉が置かれています。

このように石碑は、目印として設置されたもの。人工物なのです。



おかしな情報の二つ目として、ヤハラヅカサの「ヅカサ」に「塚」という漢字を充てているものがあります。

正しくは、「司」 です。担当する・任される・支配する、という意味があります。

「ヤハラ」は、安らぐ・穏やか、という意味で、「ヤハラヅカサ」 とは、波浪を鎮める神霊という意味があります。

これは、仏教における「白衣観音」に通じるものでもあります。


(以前この場所で、白衣観音の姿をした雲が現れたことがありましたが、偶然ではなくて、この場所におられる神霊の姿を雲を使って示したものと理解しています。)


三つ目として、アマミキヨは、久高島からこの浜に来たという説もありますが、

大東島(うふあがりじま) は、この場所から辰巳の方向、南東の方向にあるとされています。

久高島は、真東よりやや北の方にあります。つまり、大東島と久高島とは異なる島だということです。

(沖縄本島の東に南北の大東島がありますが、大東島(うふあがりじま)とは異なります。)


ヤハラヅカサは、久高島との繋がりよりも、「ニライカナイ」との繋がりを強く感じさせられるところです。