円安の影響もあって日本企業の業績は好調だが、その一方で早期希望退職を実施する企業が拡大している。

 

 早期・希望退職を募集する大手企業続出、3年ぶりに1万人超の可能性…黒字のうちに構造改革か(5/18読売新聞)

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240517-OYT1T50181/

 

 記事が指摘するように企業側の「経営環境が良いうちに」という姿勢の表れでもあるが、社内での「役職定年制度」が社員の離職を促している面もあるのだろう。自分が勤めていた会社では、課長で53歳、部長で55歳、事業部長以上で57歳が役職定年の年齢だった。つまり役員にならない限り、それぞれの年齢で、役職がはずれ平社員になる。多くの企業では退職金の上積みを条件として早期退職の選択肢を与えている。

 

 給与レベルにはそれなりの配慮がされて、いきなり平社員並になるわけではないが多少の減給は受け入れなければならない。50代の働き盛りで肩書がはずれて部下がいなくなるのは寂しい。また部長であれば海外出張はビジネスクラスを利用できたが、その特権もなくなる。結果役職定年前後で8割くらいの同期が会社を去って行った。

 

 中高年の再就職が難しいことが指摘されて久しいが、周囲を見ていると皆それなりに過去の経験を活かしながら働いていて、「コンビニバイトくらいしか働き口がない」というのはちょっと極論だと思う。30~40代で上司が年下というと、アレルギー反応があるかもしれないが、50~60代ではあまり気にならない。企業としても知識・経験が豊かな高齢者を上手く使いこなせば採用メリットがあるのではないか。

 

 役員になる人間が一握りだとすれば、会社員人生の中で50代は多くの人にとって迷い戸惑う時期になる。だけど日本の年功序列や生涯一企業といった雇用文化も変化しつつあり、あまり悲観的になる必要はない。

 

1999年ブカレスト・ルーマニア - チャウシェスク大統領が建設した「国民の館」を見学。皆既日食にあわせての訪問だったが、ドラキュラ城のモデルとなったブラン城などもあり意外と見どころ豊富。