経済予測などでは「10年後の世界」といったタイトルを見かけるが、15年くらいの長さで時代を振り返りまた将来を見据えると、周囲の環境や人々の変化をつかみやすい。15年後というと2038年。大学での国際交流担当という仕事自体は残っているだろうが、環境変化とともに、業務の方向性は変わっていくと思う。

 

1.世界情勢と留学生の出身地域

 現在留学生全体の中に占める中国人の割合は40%前後で2位のベトナムに2倍くらいの差をつけて首位となっている。多くの大学で中韓台といった東アジア=漢字圏からの留学生が半数以上という状況ではないだろうか。今後、中国の経済成長の鈍化と成熟化により同国からの留学志願者は横ばいあるいは減少するのに対し、インドを中心とした南アジアやアフリカ諸国からの出身者が増加する。大学では日本語教育も含めて非漢字圏の留学生への対応が重要になる。

 

2.大学経営における留学生依存

 少子化による日本人学生数の減少に伴い、大学経営における収入面での留学生依存度は上昇する。現時点でも特に大学院においては、外国人留学生を抜きにしては定員割れが生ずるケースが見受けられる。これまで客寄せパンダ的に外国人留学生を募集していた大学も、授業料をしっかり徴収できる留学生に入学してもらうことが必要になる。

 

3.技術と教育

 AIの導入・自動翻訳機の進化により、語学教育を中心とした「国際人材の育成」も影響を受け、新たな要素を取り入れていかねばならない。

 

4.大学間格差

 大学全入時代が到来するとともに、国際化においても大学間格差は拡大する。金のかかる国際化を早々とあきらめて国内での教育に特化する大学も出てくるのではないか。一方DXによりある程度の国際的な教育を受ける環境(オンラインによる海外講義の受講等)は今後も進歩・普及するので、その中身・レベルが問われていくことになる。

 

 大学ではこれらの動きも見ながら、何に注力し如何なる姿の国際化を成し遂げるのかを考えねばない。横並びではなく、一味違った国際化を進めることでこれまで遅れていた大学が一発逆転ホームランを放つ、というのもありだ。

 

ペトラ遺跡・ヨルダン2006年 - 映画「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」で有名になった。この他にも死海や古代ローマ時代の遺跡、十字軍の城があってヨルダンは見どころ豊富。「昼間なのにヨルダン」とか言いながらスマイルショット。