「きつねと源十郎」(「金兼藁(きんけんこう)」より)
文と絵/清水竜基(←たつきちのペンネーム)

むかしむかし、鎌倉のまちに源十郎という、魚売りが住んでいました。
源十郎は、今日もたくさんの魚が入ったかごを背中にしょって、まちの中を売り歩いていました。
そのとき…

「ほほぅ、今日もうまそうな魚がいっぱいだなぁ~」
通りの家の屋根の上から、3匹の猫が源十郎の魚を、じぃっと見ていました。
「ちいっとばかり、わけていただきましょうかねぇ」
そう言って、猫たちは、なんと屋根の上から…

なんと屋根の上から、ぴょーんと跳んだかと思うと、源十郎の魚に襲いかかりました。
「こら、何をする。また、お前たちか。やめろ、やめないかぁ」

「源十郎さーん、いつもおいしい魚をありがとう」
「こらぁ、だいじな売りもんを盗みやがって」
源十郎は、叫びましたが、猫たちは笑って手をふるばかり。
そのとき…

「た、た、た、助けてくださーい」
一匹のきつねが、おおあわてで通りを走ってきたかと思うと、なんとなんと…

源十郎の背負ったかごの中に、
すっぽーん
と、飛び込みました。
「こらっ、おまえもおいらの魚を盗みもうっていうのか」
「助けてください。助けてください。らんぼうな野良犬たちに、追いかけられて困っているんです」
きつねは、ふるえながら言いました。

気がつくと、たくさんの大きな野良犬たちが、源十郎ときつねの周りを取り囲んでいました。
今にも飛びかかってきそうです。
「こらぁ、弱い者いじめは、やめろぉ」
源十郎は、必死で野良犬たちを追い払いました。

「ほれ、もうみんな行っちまったぞ」
ようやく、野良犬たちを追い払うと、源十郎は、きつねに言いました。
きつねが飛び込んだので、かごの中の魚はめちゃめちゃです。
「魚はもう売りもんにならねえな。ほら、一匹おまえにやるから、持っていけ」
きつねは、何度も振り向きながら頭を下げて、山へ帰っていきました。

その夜、源十郎の夢の中に、きつねが出てきました。
「今日は、あぶないところを助けていただいて、ありがとうございました。
お礼に良いことを教えましょう。
あなたは、魚売りをやめて、畑で大根をつくってください。
きっと良いことがあるでしょう」
源十郎は、目をさまして、夢できつねが言ったことを考えました。
「大根をつくれって、いったいどういうことだ」
さて、源十郎の運命やいかに。
続きはまた明日のお楽しみ~。(え~っ)