7月に入りました。私は秀弥君の勉強部屋とよばれるところに時々いってました。一番奥の部屋を「研究室」よんでいました。何か腕時計みたいなものを作っていてそれを「嘘発見器」だと教えてくれました。
ー試してみて
秀弥君にそういわれ電流が流れたらどうしよう、そんな不安を胸の奥に感じながら、おそるおそる腕に巻いてみました。
ー電流でも流れたらどうしよう、とでも思ってる?
ーえ、そんなこと思ってないよ。
ピピピピピピピピピ・・・・・・。文字盤が光り、安い目覚まし時計のアラームと同じ音が鳴り始めました。
ーすごい、秀弥ってすごい。
少し照れながら
ーこれで、充分だったのに・・・・・・。僕は、こうやってずっと誰かにほめてもらいたかっただけなのに・・・・・。
あの事件のことだ、と思いました。
秀弥君の嫌がらせがなくなったことを一番喜んだのはウェルテルでした。秀弥君はよく笑うようになったし、学年末テストも一位でした。
しかしウェルテルには、まだ大きな課題が残っていました。直君のことです。このまま不登校を続けるなら二学期どうするのか。そろぼち結論をださなければいけない時期にきました。
一学期の終業式前日、放課後、私はいつものように、ウェルテルと一緒に直君の家に行きました。あきれたことに、あの時書いたメッセージを渡していなかったのです。いえ、ずっと忘れたままでいればよかったのです。ドアをあけてウェルテルはさけびました。
ー直樹、そこにいるなら聴いてくれ。実はこの一学期苦しい思いをしたのはお前だけじゃない。秀弥もだ。いじめをうけていたんだ。僕はみんなにそれがいかに間違った行為であるかをといた。魂を込めて、説いた。・・みんなわかってくれたよ。直樹、お前の悩みを俺にぶつけてくれ。僕はそれを正面からうけとめる。必ず解決する。僕を信じて明日の終業式絶対きてくれ。待ってる。
私は怒りがこみあげました。いじめではなく嫉妬だとごまかしたじゃないか。なのに解決した途端あれはいじめだというのか。
その晩直君はお母さんを殺しました。