第9話nine nine nine
1年2組担任 森口ゆうこ
2年2組担任 寺田良輝
少年A 渡辺秀弥
少年B 下村直樹
クラス委員長 北原美月
私はウェルテルにつきそわれ、校長室に行きました。そこには、校長先生、学年主任の先生、そしてポリ二人がいました。ウェルテルと並んで座ると、事件のことについて詳しく説明してもらえないまま、直君のことについてなんでもいいから話すように、と言われました。私はありのままを話しました。
ー私は毎週金曜日に、良輝先生と一緒に、直君の家にいきました。反応していたのはお母さんで、直君の姿は一度も見たことありません。お母さんは最初のころは歓迎してくれている様子でしたが。だんだんと迷惑そうな態度をとるようになっていきました。
お母さんが何も言わなくても、家庭訪問されることを、直君のストレスになっていたんじゃないかと思います。直君はかっとなって手を上げる子ではないとおもうけど、ぶつける場所がなくて、何をしても許してくれるお母さんに八つ当たりしたんだと思います。
直君はほんの少し心が弱いのです。でも、今までかかわったことのある先生なら、気づいていることだと思います。知らないのはきっと、自分で何でも解決しようとする良輝先生だけです。私たちが行けばいくほど直君はおいつめられる。私は良輝先生に、しばらくの家庭訪問を控えたほうがいいのではと相談しました。でも私の意見は聞き入れてもらえませんでした。
直君をおいつめたのは、良輝先生です。先生は生徒のことなんて何一つ見てくれていませんでした。先生がこんなことをしなければ、この悲劇はおこらなかったでしょう。
ゆうこ先生、これは一学期のあいだ、たった4か月の出来事です。この手紙を書いている今は夏休みです。もしウェルテルが2学期学校にくるなら考えがあります。私は色々な薬品を集めています。それらは自殺のために集めましたが、別の人で試してもいいかもしれません。ウェルテルに薬を飲ませることは簡単です。私がなぜウェルテルをぬくむのか、先生は疑問に思うかもしれません。
私は小学校の低学年から直君のことがすきでした。多分初恋だと思います。私のことをクラスみんながミズホと呼ぶのに直君だけが美月ちゃんと呼んでくれました。九九もろくにできないバカ女が腹いせに、クラスで一番勉強のできた私につけたあだ名が、ミズホでした。
みづきのあほ、の、ミズホでした。
私は直君だけが、私の味方だと思っていました。直君のお姉さんから聞きました。直君がなぜお母さんを殺したのかとたずねたときこう答えたそうです。
ー警察に捕まりたかったから。
ゆうこ先生、最後に一つ、聴いてもいいですか?
先生は、少年二人を直接裁いたことを、今どう思っていますか?