チキ風呂 -10ページ目

チキ風呂

チキ風呂

「もし町中がゾンビだらけだったらどうする?」

母さんが焼いてくれたクッキーを食べながら、渡辺君にたずねてみる。すると彼は、急に立ち上がり、机の引き出しから何かを取り出してきた。黒い小銭いれだ。

「それって、もしかしてビックリ財布?」

「そうだよ、実は、これのパワーアップに成功したんだけどさ、まだ試してないんだよね。下村君触ってみる?」

僕はおおげさに頭と首と手を横にふる。

「冗談冗談。これってさ、悪い奴をこらしめるために作った7ものだから。実験も悪い奴でやらなきゃ って思ってるんだ」

渡辺君はそういうと、僕の前に財布をおいた。どうみてもファスナーつきのただの財布にしか見えない。

「これで、こらしめれるの?」

ファスナーのつまみに触れると、感電するしくみになっているんだ。だから、わっと驚いて、尻もちつかすくらいならできるんじゃないかな。悪い奴のそういう格好見たくない?」

「見たいみたい、で、誰をこらしめるの。」

「そこなんだ。僕なんて余裕がないから、周りにいるやつ全員が悪人に見えちゃってさ。・・・・・下村君、選んでくれないかな。」

「僕が!?」

思わず声が裏返ってしまう。でも、ものすごくわくわくしてきた。渡辺くんが発明した道具で、悪い奴をこらしめる。ターゲットを選ぶのは、僕!映画の主人公みたいじゃないか。渡辺君が博士で僕が助手、ってとこかな。

僕は必至で考えた。僕の敵ではなく、僕らの敵。するとやっぱり、先生だ。いつもいばっているやつ。

「森口はどう・・・・・?」