『父よ、生きよ!⑧』 | きりんはツノの先端に毛が生えているのがオスですよ

一時帰宅が終わった頃、遠方の従兄弟に頼んでいたHLAを調べるドナー検査の結果が出ました。
前回の従兄妹や私の結果よりも良い結果は出ず、やはり私がドナーになることになったのです。



9月6日、
父の2クール目の抗がん剤治療が始まっていました。
この日は、別の病院へセカンドオピニオンを受けに行きました。
ATLの治療についてや、これから実施するであろう半合致移植について他の先生からも意見を聞いておかなければと思い申入れたのです。そこはATLの患者数や造血幹細胞移植の件数も今の病院より多くやってきている病院でした。

事前に父の主治医の先生にお願いして、セカンドオピニオンの予行練習をさせてもらいました。
先生からは「病気に対してよく理解されていますし、質問も非常に良い点をついたものなのでバッチリです!大丈夫ですよ!」とお墨付きももらい落ち着いて望むことができたと思います。


しかし、想像していた以上に…本当に想像していた以上に辛辣な意見や見解を聞かされたのです。
どんな質問をしても最終的には「今の治療法が最善…というかそれしかない…それをしても再発はするでしょうし、命を少しでも伸ばす可能性がわずかだがあるという点では良いと思います。まあ、完全に寛解となることはないに等しい…」といった感じに持っていかれて落とされるだけ。
半合致移植についても、ATL患者に対してはそこの病院でも経験はないということでした。
帰る頃には精神的なダメージが大きくしばらくコーヒーを片手に動けず放心状態でした。



後日、セカンドオピニオンの報告をしようと先生を訪ねるとこちらから報告する前におおよその予想はついていたのか「かなり厳しいことを言われたでしょう?」と言われてしまい苦笑い。

話を続けていると、
「お父さんへの治療は過去のデータなんて関係がない、無意味だと思っています。お父さんにとって治療の結果は0か100しかないんです。私は100になるように力を尽くすだけだと思っています。」
そう言ってくれる先生を信じて任せることが、父と私には良いだろうと改めて治療をつづける決意ができました。

今の病院は家から近く毎日通うには都合が良いし、病室の窓が大きく最上階ということもあり景色が素晴らしく晴れやかに過ごせることを考えると、他の病院に比べても良い環境だと思っているのですが、それ以上にやはり先生との相性は本当に大事だなぁと実感しています。