暴力的であり背徳的なので嫌いな人ももちろんいることと思いますが、刺さる人には刺さるマニアックな作品だと思います。
漫画ながら情報量がとても多く、ほとんどの場合一度読んだだけでは理解できなくて二度目を読むことになりそうです。
倫理観が中世的なので想像力を働かせながら読んでいく必要があるのですが、大抵の場合想像の遥か上をいくストーリー展開でした。
悪魔からの求愛に畏れを感じつつも時に異常なまでにサディスティックになる無知な公女は、毎日の食事は木の実から採れると思いながら生活していました。
幼い娘に貞操帯を履かせる狂った母親は倫理観からそうしているのではなく、別の理由があるのでした。
実の弟が姉にその夫の心臓を捧げたのは何故だったのでしょう。
様々な伏線が散りばめられているところに、数百年も前の前世の記憶まで出てくるので、1度目は理解できないところが多いのですが、それでも次が気になって仕方ない、そんな作品だと思います。
善良で退屈な毎日を送っているであろう読者からすると、感情や欲望に忠実な主要キャラ達の振る舞いは身勝手で残虐で理解しがたいものでありながら、不思議と爽快感を覚えるのですよね。