水の中の三日間
約500年前のことです。
ある朝、黎明の薄明かりの中、ナーナクは毎日のサーダナの前に行なう沐浴のためにヴァエ川に入りました。しかしいつもと違い、この朝、ナーナクは川の深いところにどんどん入っていき、ついには深い水の中へと姿を消したのです。
ナーナクの幼なじみのマルダナは彼が再び現れるのを何時間も待っていましたが、全くその気配がありません。マルダナは助けを呼びに村へと走り、村人全員を起こしました。やがて大勢の人が川辺に集まりました。しかしナーナクはどこにもいなかったのです。
それから3日たち、誰もがナーナクは溺れたものだと確信しました。彼の身体は川の強力な流れに乗ってどこかに流されたのか、動物に食べられたと思われました。
しかし、姿を消してから3日目の朝、ちょうど日が昇る頃にナーナクは戻ってきたのです。ヴァエ川の水の中で3日間、深いサマーディの中にいた結果、彼はグル、すなわち光明を得た者に変容したのです。川から出てきながら彼の発した最初の言葉は“
Ik Ongkaar” (私たちは皆ひとつ)というものでした。
この美しい話にはグル・ナーナクの教えの真髄が入っています。
この話に出てくる3日間は、エゴが完全に溶け去るために必要な時間を表しています。エゴをシャバドの水の中で溺れさせない限り、神性は現れることができません。
2年前にもヒマラヤでヨギ・アマンディープと一緒に行いましたが、今年の10月にもシッキムで行う3日間の暗闇瞑想は、このためでもあるのです。
エゴが溶け去ると内なる神性が現れ、あなたの本質が神性そのものとなり、目の前に見たものもすべて神としてとらえるようになります。その一体性の中に入った時、まさしく “IkOngkaar(私たちは皆ひとつ)以外に何も言えなくなるでしょう。二元性の入る余地がまったくなくなるのです。
この融合についてグル・ナーナクは自身の言葉で次のように述べています。
“Nanak LeenBhaeyoo Gobind Seon, Jion Pani Sang Pani.”
水が水とひとつになるように、ナーナクは全体性とひとつになった。
Japji の誕生
この大いなる融合によって「Japji」と呼ばれる聖なる音が生まれましたJapji には全く違うレベルの言語が入っています。心を開いて素直な気持ちでJapji とつながれば、あなたの内面で何かが歌いはじめて開花し、その振動の中でエゴがゆっくりと溺れていくでしょう。
Japji は内なる眠っているエネルギーを呼び覚ます力を保っています。
グル・ナーナクの教えたこれらの言葉を唱えるうちに、強力なアルケミー(錬金術的変容)が起きて、身体がまるで楽器のように、ジャパを体験した時のグル・ナーナクと同じ意識レベルで振動しはじめます。
ヨギ・バジャンは「無限性の科学を知りたいなら、Japji を理解することだ。」と言っています。