私の頭の中はひさしぶりに混乱していました。

自由になるためにやって来たことが、自分を縛りつけてきたのだと感じたからです。




アーユルヴェーダ トリートメントをスタートさせて1週間が経ち、からだの中からの強いデトックスが促されているのを感じながら、私は数々の映像を見てきました。

もう 何度も何度も何度も繰り返し、癒してきたトラウマと言われるもの、ケンちゃんも同じように学校で起きたことや、人から傷つけられた記憶が蘇り、体臭までがその時いた場所の匂いとなって体内から放出されているようでした。

クンダリーニ ヨガを実践していてもそうですが、記憶が解放されるとともに、体内からその匂いが溢れだしてきます。

そして私たちの次元が上がると、体内から花の香りがしてくるようになります。

ケンちゃんの場合、アーユルヴェーダ初心者で、しかも本場ケララで伝統的な手法をされている方に出会ったので、一般的な高級ホテルとは違う独自の、このケララの地や神々とつながった領域でのすざましい解放を続けているようでした。

私たちはこの4日間、毎朝、6時にお寺に向かいました。

300年前からあるヒンドゥー教のお寺で、三大神「ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ」を祀っている、とても貴重なお寺です。

最初に入るお寺では、とても古い黄金のガネーシャが祀られ、ここで、プジャ、護摩焚きをしてくれます。

手を合わせて座っているだけで、涙が溢れてきました。こんなにも神聖なガネーシャのエネルギーを感じたのは、ミーナクシー寺院以来です。

やはり本場の古いヒンドゥー教寺院は、他の国のヒンドゥー教寺院や、ビジネスでしている観光向けの寺院とは全く違います。

古き良き趣と、神道と仏教が融合したエネルギーを持っています。懐かしような暖かいような、からだが拒絶反応をしません。

バリ島では、独特の香りと色彩がどうしても受け入れられず、マントラを拒絶していましたが、ここで聞くマントラは、なんとも気品があって美しく、まるで風でゆれる鈴の音のようで心が溶けていくようでした。

私の前に金色のガネーシャが現れこうささやきました。

「 よくここまでやって来たね…」

それは、5年前、ミーナクシー寺院のガネーシャが伝えてくれたメッセージと同じでした。

さらに私の両目から涙が溢れだすと、その涙をぬぐうかのように、ガネーシャの黄金の光が私を照らしてくれていました。

もう過去にすでに何度も経験したことですが、この瞬間、私は「自分 」という意識から広がりを感じ、「何もない」という、言葉では表現不可能な「感覚」でしか味わえない体験を繰り広げているのです。

いつの日からだろう…
こんなにも手を合わせることが大切なことだと気がついたのは…

歳を重ねてきたから?

隣で9歳の少女がちょこんと座り、私の顔を横目でチラチラ見ながら、手をしっかり合わせている様子が、こちらも横目でチラチラ見えていました…。

彼女は あと残り1つで、ヒンドゥー教のすべてのマントラをマスターできるそうです。

ガネーシャの像の前では、私にガネーシャのマントラを教えてくれたり、もちろん アーユルヴェーダの神様、ダンワンタリー(正確に言うと、この発音も間違っており、カタカタでは表現できない発音です) 、のマントラも教えてくれます。

作法もすべてマスターしており、神様につながることもあたりまえのようにできるのです。

日本語を教えて欲しいと言うので、「 あいうえお」を教えただけで、続けて、「 さしすせそ、ガギクゲゴ、なにぬねの…  」唱えはじめて驚きました。

天空を指差して、

「 神さまが教えてくれるの、おりてくるの」

彼女はすべては神さまとつながることで、知り得ないことも教えてもらえると…何度も話してくれました。そして、

「あなたもつながってるから、特にサラスワティと…」

わたしがバリ島の儀式で「サラスワティ」を入れていただいたこと、ヨギ・アマンディープから「サラスワティ」という名前をいただいたことも知らないのに、少女はそう言い、わたしを初めて見た時に、3つの顔を持つサラスワティと一体化になっていたとも言い、この絵を印刷してプレゼントしてくれました。



彼女はつづけて言います。
「私たちはこの宇宙の一部であって、すべての人とつながっているのだから、誰かのことを責めることは自分を責めることになるの。」

そして、わたしは、ガネーシャの前でまるで彼女の承認を得たかのように、ヒンドゥー教の作法やマントラ、意味を細かく教えてもらい、より、神さまの世界との絆が強くなっていくのを感じていました。

まるで、映画のセットのワンシーンのように、お香が焚かれ舞う煙りが、時代をタイムトラベルしているかのようでした。

ひと通りの作法が終わり、出口のところの長イスに2人で腰掛けていると、葉っぱに包まれた白い粉を両手首につけ、まるで香水を刷り込むように動かしながら

「こうやって脈をさわってみて 」
っと言うので、その真似をして、3本の指を自分の脈の上において、脈の音に耳を傾けました。


「なにが見える?」
っと少女が言うので…
わたしはゆっくりと目を閉じました。

すると、大きな木が見え、その大きな木には白い花が咲き誇っており、まるでシャワーのようにわたしの顔に舞い降りてきているのです。

少女にそれを伝えると

「すばらしい! プレッシングされている…わたしはたくさん本が見えたの。これは、今、自分にとって大切なメッセージが映像で送られてくるから、わたしにとって大切なのは本を読むこと。ほら、わたしの靴ぼろぼろでしょ…。靴を買うより本を買って読むことが、今のわたしにとって大切なことなの。」

すごい…アーユルヴェーダの脈診をこの9歳の子から学ぶなんて思いもよらなかった…

わたしはアーユルヴェーダの奥深さを感じながら、その建物からでると…

「  あっ!」

驚きました。




大きな木があり、その大木に白い花が咲いた他の幹がからみついているのです。
これはまさしく、わたしが見た映像…。

少女の母親でもある、アーユルヴェーダの女医は驚いた顔をしながら、こう言いました。

「 この木はここで最も大切な存在として祀られていて、とてもパワフルに私たちを神聖な道に導いてくれるのよ。」