やっとの思いで見つけた HOTEL ブッタ
すべてが完璧だった
バラナシでこんな綺麗なホテルがあるの?
って、いうぐらい清潔なホテルにリーズナブルな値段で泊まれて美味しい朝食までついていたのです。
しかも、夜遅くに到着したのに、ホテル側がサンライズツアーも行ってくれるそう
あっぱれ!ホテル・ブッタ
次の日の早朝、ここはバリ島?っと、一瞬、夢でも見ているかのように、寝ぼけ眼の私にの目の前には、眩し過ぎるほど真っ白で、アイロンかけたてのような服をまとったスーさんが立っていました。
まだ薄暗い中、私たちはタクシーに乗り込んでガンジス河へと向かったのです。
タクシーを降りて懐かしい道をくねくねと歩きながら
私は、初めてインドに訪れた、昨年の旅を思い出していました。
そう、クンブメーラという祭典に参加するためアラハバードに行くはずが、1日1便の飛行機がキャンセルになって、知らない間にチケットがバラナシ行きへと変更されていたんだっけ…
私は、あの時わけも分からず、夜のガンジス河へと到着して、小舟の中からとても神秘的なセレモニーを見て…でもそれがインドで1番感動したことでした。
これが、昨年の夜のガンジス河
なんと、今回もまたスケジュールには全くなかったガンジス河
いったい何が私を待っているのだろう
とってもワクワクした
長い階段を降りて行くと、この場所で沐浴をすませたばかりの地元の女性たちと目が合い、私たちは微笑み返しをしながら、まるで昔から知っているかのようにお互いに祈りを捧げ始めました。握手を交わし、胸や頭に手を置き、この場所で会えたことを喜び、神聖な気持ちを繋げていったのです。
私は彼女たちと別れることを惜しみながらも、目の前に停めてある小舟の方に向かって行くと、その船着き場の横で、おじさんが真っ赤なお花とロウソクが入っている器を売っていたました。
私は、どうしてもそれを買わなければという衝動にかられ、お花とロウソクを手に取り、お金を手渡したのです。
私は揺れる小舟の中で、沐浴をしている人や火葬場を横目で見ていました。
すると、だんだんと発光するかのように明るくなっていく空と同時に太陽が覗き込むように顔をだし始め、薄汚れたガンジス河が真っ赤に照らされていきました。
なんて綺麗なんだろう…ガンジス河の上で見る朝日は格別でした。
私は手のひらの上にさっき購入した器を置き、あらかじめ灯しておいたロウソクの火に祈りを捧げることにしました。
太陽の炎と手のひらの炎が一直線になった写真をスーさんが撮ってくれました。
太陽が完全に私たちを照らし始めた時、待ってたかのようにスーさんが言いました。
「さあ、禊ぎを始めましょうか…」
今朝から、彼はそのつもりだったらしく、バリ島から持ってきた儀式のための正装で身を包んでいたのです。
私も白い服を偶然、いえ必然で着ていました。
スーさんが太陽に向かってバリ語でお経のような言葉を唱えながら祈りを捧げ始めました。
実は、彼のご先祖はバリ島で初めて王族になった方で、お父様は天国へ導く刻印を人々に与えることが出来るほど、とても有名なお坊さんなのです。
彼自身、日本のお寺やバリ島で素晴しい儀式を受け継ぎ、行える方でした。
私は、このような方にこのインドのガンジス河で禊ぎをしていただける、この状況が信じられませんでした。
それも、インドの旅がスタートしてから、誰も一言もそんな会話を交わしたこともなく、このガンジス河にやってきて、突然この儀式が始まったのです。
昨年インドを訪れてから、私は10回もバリ島を訪れたました。
何が私をそんなに惹き付けるのか分かりませんでしたが、いろんな必然の連続で足を運ぶことになったのです。
アグン山へと4度も登り素晴しい体験を肉体に魂に刻み込みました。
そうだ! 突然、私は先月訪れたバリ島での出来事を思い出しました。
私は、火山の爆発で村ごと流され多くの方が亡くなった場所に行き、アグン山と同様にたくさんのスピリットに祈りを捧げ、迷える魂が空へと上がっていく姿を見届けていました。
その時、亡くなった方たちのために建てられていたブラフマーの寺院でメッセージが聞こえてきたのです。
「このバリ島での功績をたたえて大きなギフトを与える」
でも、私がさせていただけることは、ほんの小さなことだし、当然のことだと思っていたので…そのメッセージさえも、すでに忘れていました。
そうなんだ!これがまさに大きなギフト!
私は涙が止まりませんでした。
いつも笑顔のスーさんが真剣な顔でこう言いました。
「さあ、足をガンジス河につけて…」
私はこの儀式がどんなに大切なものか、心から分かっていました。
スーさんの真心によって完全に私の心は開らかれ、どんなに菌まみれで汚れているガンジス河でさえもスーさんの儀式により美しい河になることを確信して足を入れたのです。
「どうぞ、この河が元の美しい河になりますように…どうぞ、ここにいる迷えるスピリット達も行くべき所へ行きますように……そして、私のWorldセッションを受けている方全員へ、この禊ぎのパワーが届き解放が起きますように!」
心から祈りを込めて愛と光りを送りました。
この素晴しい儀式にただただ頭が下がる思いで感謝でハートが溢れていました
先ほど購入したお花もバリ島では儀式の時に必ず使うものです。
その花びら1枚1枚がガンジス河に浮かんでは沈んで流れていくのを見ながら、私はこの奇跡のような尊い瞬間の目撃者となっていました。
こんなに、たくさん世界を旅していても、バリ人に出会ったことなんてバリ島以外、1度もなかったのに…
あの夢のようなアルナーチャラの頂上でのサドゥの先祖供養といい
スーさんの伝統的バリ島禊ぎの儀式といい
このすべての計画された出来事に感謝せずにはいられませんでした。
「ありがとうございます」っと何度も言いながら、私は号泣しました。
そんな私を見ながら、スーさんは静かに少しづつ言葉を口にしたのです。
「行きたくもないのに…どうしてインドに行くんだろう…って、出発前から何度も思ったし、到着してた後でも、何しに来たんだろうって、ずっと思っていたんだよね…。でもね、絶対にインドで仕事をしなければいけない…これだけは分かっていて、いつ、何処でするんだろう…って、ずーっと思っていたけれど、この儀式のために私はインドに来たことがやっと分かったよ。ありがとう…」
私は頭をさらに下げ、心から「素晴しい禊ぎをありがとうございます」っと彼に告げました。
それは、バリ人と日本人がインドのガンジス河の上で感謝の言葉をお互いに交わしている不思議な光景でした。
そう、奇跡はいつも起きたがっている