「ロサンジェルス・小芝居の旅」

空間の神は『エロス』に宿る

空間の神は『エロス』に宿る



一人充実のラスベガスを離れ、
小一時間の空の旅でロスについた。
やっぱりあたたかい。

まずはホテルにチェックイン。
そしてロスでアテンドをしてくれるダンディK氏が
キャデラックでお迎えしてくれて、そこから高級コンドの視察に向かう。
もちろん買うためではなく、サービスアパートメントのお手本を
見に行くためである。

車中でK氏から

 ただ見せてくれって言うと見せてくれないから
 娘が東京からこっちに越すのでコンドを探している、といって
 内覧を申し込んだから合わせてね ;)

などというオモシロイお申し出。
ちょっと気分を盛り上げてマリナ・デル・レイのコンドに乗り込む。

セールスのキャサリンは白髪のK氏の上品な佇まいと、
会社経営者であるというプロフィールと、
私が自分の会社のロス支店の開設準備のためにこちらに来る、という
でっち上げのプロフィールに目がハートになっていた。

「2ベッドルーム・2バスがお嬢様にはちょうど良いのでは?」

とキャサリンはオーシャンビューの6階の部屋を案内してくれた。
申し分ない、っていうか夢のような広さのリビングと
ダブルベッドがゆったりはいる2ベットルーム。
それぞれバスルームがついていて、
ゲストが来たときもゆったり滞在してもらえるし、
収納もたっぷり。

でも、これ一つで見終わるわけにはいかない。

私  :キャサリン、キッチンがリビングから隠れていて、
    ちょっと窮屈な感じがするの。
    オープンキッチンのお部屋は無いのかしらぁ?

Kパパ:そうだな、おまえは料理が好きだからマリーナを眺めながら
    気持ちよく料理ができるキッチンの方がいいな。

キャサリン:それでしたらちょっとお値段が上がりますが、
    12階にちょうどいいお部屋がありますわ♪
    このタイプの最後の一戸なのでモデルルームで使った家具も
    全部付けますわ☆

Kパパ:いいね、見せてもらおうか。

キャサリン:いいお父様をお持ちでうらやましいですわぁ♪

私  :自慢の父ですの。


あぁ、楽しい。
嘘でも楽しい。
ちょっと本気で欲しくなってきた。。。

はい、お値段、120万ドルでございます。


キャサリン:それだけの価値がありますわ。

私  :お母様が怒るかも知れないわ。ね、お父様。

Kパパ:ハッハッハー(ダンディ笑い)
    でも、将来結婚をしたときのために3ベッドルームも
    見せてもらった方がいいんじゃかないかな?

そして抜け目なく3つめのペントハウスを見せてもらって
その後、コンドのプールやフィットネスクラブ、クラブルーム、
ビジネスセンターなんかも見せてもらって、
まだ一件目だけどなかなかいいね、来週までには返事をするよ、と
ダンディK氏はうまくかわしながらキャサリンとは別れたのでした。

いやー、誰が買うんだあのコンド。羨ましい。つか高すぎる。

それにしてもK氏はなかなか役者だった。
私は下手な英語で簡単な単語を並べるだけだったからバレるわけもなく。

ひとときの小芝居、なかなか無い思い出。

そこからロスに引き返して小芝居気分さながらロデオドライブを
K氏と散歩(視察です)して、
ティファニーの坂の上にあるカフェでお茶をしながら
ゆるゆると小芝居の幕をおろしたのでした。

空間の神は『エロス』に宿る

キャサリン、また会おう。