21.まねる(21)専守防衛(4)の続きです。

 

敵基地攻撃能力の保有を「抑止力」として捉える人もいるが、私は「核抑止力」以外の「抑止力」が有効だと思っていない。

核兵器の「抑止力」は通常兵器に比べ決定的に違うからだ。

 

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巨大地震の発生率は予想しているが、日本の周辺で起きる戦争の発生率の予想を政府は発表していない。

 

(PRESIDENT Online、鎌田 浩毅、京都大学大学院 人間・環境学研究科教授、

「30年以内に高確率で3つの大型地震が来る」そのとき生死を分けるNG行動、心の動揺が災害を増幅する)

https://president.jp/articles/-/43401

 

「30年以内に高確率で3つの大型地震が起こる。

政府の地震調査委員会は、日本列島でこれから起きる可能性のある地震の発生予測を公表しています。全国の地震学者が集まり、日本に被害を及ぼす地震の長期評価を行っているのです。今後30年以内に大地震が起きる確率を、各地の地震ごとに予測しています。

 

たとえば、今世紀の半ばまでに、太平洋岸の海域で、東海地震、東南海地震、南海地震という3 つの巨大地震が発生すると、予測しています。すなわち、東海地方から首都圏までを襲うと考えられている東海地震、また中部から近畿・四国にかけての広大な地域に被害が予想される東南海地震と南海地震です。

 

これらが30年以内に発生する確率は、M8.0の東海地震が88パーセント、M8.1の東南海地震が70パーセント、M8.4の南海地震が60パーセントという高い数値です。しかもそれらの数字は毎年更新され、少しずつ上昇しているのです。」

 

日本は地震国だから地震は起きても、平和憲法の日本に戦争など起きるわけがないと国民に思い込ませたいのだろうか。それにしては北朝鮮のミサイル開発の危険性を強調し続けている。

 

 

北朝鮮は「攻撃するな。」と言っているハリネズミと同じだ。

ハリネズミ自身の攻撃力は大したものではないが、攻撃されれば針を立てて防御する。

北朝鮮の核兵器はその針だ。

北朝鮮に「核を放棄しろ。」と言うのは、ハリネズミから針を抜くのと同じで、地上でハダカデバネズミになれと言っているようなものだ。

 

ただし、実際の北朝鮮はハリネズミやハダカデバネズミのようにかわいい存在ではない。

 

絶対に北朝鮮の国家権力者は核放棄しない。

北朝鮮の通常兵器は旧式で性能が低い事は周りの国は認識している。

その事は北朝鮮も十分理解している。

もし、北朝鮮が他国を先制攻撃したら、その瞬間に北朝鮮は消滅する。

日本政府が北朝鮮の脅威をことさら強調するのは、北朝鮮に文句を言ってもほとんど問題にならないからだ。

それに、北朝鮮の脅威を強調することで、ミサイル防衛のための最新装備をアメリカから購入することを国民に納得させるためだ。

 

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さて、「憲法9条を守れ」という運動は本当に戦争防止に有効だったのだろうか?

先の大戦で負けた後に、これまで日本が戦争しなかった、あるいは巻き込まれなかったのは憲法9条の戦争放棄があったからだろうか?

 

「第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 

世界の軍事力ランキング(2021年)では、

アメリカ・・・1位、

ロシア・・・・2位

中国・・・・・3位

インド・・・・4位

日本・・・・5

韓国・・・・・6位、

北朝鮮・・・・28位である。

(Chosun、Online、韓国が2021年世界軍事力ランキング6位、北朝鮮28位…日本は?)

http://life.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/02/10/2021021080030.html

 

軍事力世界ランキングで5位の日本が「憲法で陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と決めていることを世界の人々は信じないと思う。

自衛隊が持っているのは立派な「戦力」である。

 

 

            (ワン:ナンバー31, 1950、ジャクソン・ポロック、ニューヨーク近代美術館)

(「現代の芸術家が彼の時代、飛行機、原子爆弾やラジオを、ルネサンスなどの過去の形式で表現するのはできない相談だ。それぞれの時代はそれ自身のテクニックを見つけだすのだから」ジャクソン・ポロック、1950年、世界の美術、アンドリュー・グレアム=ディクソン、2009年10月30日発行、河出書房、506頁、

・・・これは、重い、重い言葉です・・・)

 

どうして日本は憲法を改正しないまま「戦力」を保持するようになったのだろうか?

単一民族国家のため、契約概念が希薄だということが影響しているのだろうか。

アメリカが望んだから、「戦力」を保持せざるを得なかったのだろうか。

 

そのため、現状に合わせるために憲法を改正するというような逆さまを行う国になったのだろうか?

 

最高裁判所は自衛隊の戦力について判断を回避したままである。

憲法改正論者は憲法に自衛隊を書き込めば、最高裁判所は自衛隊違憲の判断を回避しなくて良くなると考えているのだろうか?

自民党は憲法改正する理由を憲法学者の中に自衛隊は違憲だと言っている人がいるからだと言っているが、変な話だ。

現憲法のままで最高裁判所が自衛隊の戦力は合憲だと判決すれば日本の三権分立の中では問題ないハズだ。

 

一方、憲法改正に反対する人は、憲法と現状の乖離をどう考えているのだろうか?

自衛隊の戦力は違憲だと言わないで、憲法9条さえあればいいと思っているのだろうか?

 

この日本のこの状況に対し一番責任があるのは最高裁判所である。

もし、早い段階で自衛隊の戦力に対して憲法違反の判決を出していれば、日本国民は否応なく国防と憲法改正の問題に直面した。

最高裁判所が自衛隊の戦力について判断を回避した時、与党及び政府はホッとしたと思うし、ある意味、野党もホッとしたと思う。

 

三権分立の仕事をキチンとしない最高裁判所は、空気に流されやすい、あるいはナアナア主義の日本を象徴しているともいえる。

 

この日本人の心情は奥深いところで戦前戦後変わっていない。

 

最高裁判所の裁判官が行政及び国会に対し忖度し続けているのは、自分たちは国民から選ばれていないという引け目があるせいかもしれない。

あるいは、官僚と同じく出世の到着点だからかもしれない。

 

憲法改正の早道は、最高裁判所が自衛隊の戦力は違憲だという判決を出すことである。

 

自民党の憲法改正案(平成二十四年四月二十七日( 決定))

第二章 安全保障

(平和主義)

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

(国防軍)

第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、

統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。

5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。

この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

(領土等の保全等)

第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

 

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/kenpou_qa.pdf

 

現憲法の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」は削除しないと、現実と辻褄があわないよね。

 

でも、自民党の改正条文イーメージは令和元年になると、トーンダウンしている。

「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより国会の承認その他の統制に服する。」

 

(マンガでよく分かる ~憲法のおはなし~ 自衛隊明記ってなぁに?)

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/constitution/kenpou_force.pdf

自由民主党憲法改正推進本部(初版令和元年6月発行)

 

何じゃこりゃ!

 

問題となるのは、自衛隊の存在ではなくて、「戦力」のレベルである。

 

核兵器の保有は憲法上可能と考えられている。

(たたき潰される「核武装論」 自由な発言阻むタブーの風潮、THE、SANKEI、NEWS)

「安倍晋三首相も官房副長官時代の14年5月に講演で「核兵器を保有することは憲法の禁ずるところではない」と述べただけで、野党や一部マスコミが問題視した。」

https://www.sankei.com/article/20170917-GJ5QWYHG6ZNSZA4K3GJPOZ4QTM/2/

 

戦争防止のために、憲法9条以外に我々は何に注力すべきなのだろうか?

 

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23.まねる(23)専守防衛(6)に続きます。