12.なぜ、見ている赤い筒が消火器だと了解したか
今見ている赤い筒が消火器だと了解したのは、以前に見た消火器に目の前の赤い筒が似ていたからである。
もし、記憶の中に似ているものが、何もなければ赤い筒は(分からない)ものとして了解される。
(心識層)に了解の内容を置くのは(心深層)の働きである。しかし、その(心深層)の働きは意識することができない。そのため、(心深層)の働きは推理してみるしかない。
目の前にあるAとBが似ていると了解するためには、さまざまな要素を比較する必要がある。
例えば
- 形が似ている。
- 色が似ている。
- 大きさが似ている。
- 重さが似ている。
- 質感が似ている。
- 動きが似ている。
- 置かれている状況が似ている。
- 音が似ている。
- 味が似ている。
- 温度が似ている。
- 触感が似ている。
- 匂いが似ている。
- ・・・・・・・・・。
- ・・・・・・・・・。
要素ごとに比較すると形は似ているが、大きさは違っている等々、要素によって別の判定がでてくる。
AがBと似ているというためには、優先的に比較される要素を設定する必要がある。
もし、目の前にAの他にB、C、D、E、F・・・・がある場合はどうだろう。
AはCよりもBに似ている。BよりDに似ている。EよりDに似ている。
逐一比較した結果、他のどれよりもAはDに似ていると判定する。
その場合、もし、要素が同じ価値を持って比較されると、判定に時間がかかるし、判定が保留されてしまうこともあるだろう。
視覚情報を優先する生き物と嗅覚情報を優先する生き物では、優先情報が違っている。
人間は視覚情報を優先していると言われている。
視覚情報の中でも(形)の情報が優先されると仮定しても良いかもしれない。
書店の店内案内図に消火器のマークがあった。消火器を真横からみた図で、大きさは1センチくらい、黒地に白抜きであった。その白抜きの図は初めて見た図であった。
初めて見た図であったが、その図を消火器として了解した。
遠くに見える像が何かを見分けるためには、形を基準に判定した方が正確だろう。
しかし、ものが手元にある場合は、形ではなく色かもしれない。
刺し身は色でマグロ、サーモン、タイ等見分ける。
砂糖か塩かは色でなく味覚で見分ける。形や色が似ていても違う可能性があるなら、視覚情報以外を使う。砂糖は形も色も様々に加工できる。それを砂糖として了解するには最終的には味わうしかない。
つまりは、(状況)によって優先される情報が異なると考えた方がよさそうだ。
今見ている赤い筒が消火器だと了解するためには、記憶と見比べる必要がある。
記憶は膨大である。
記憶が仮に、
- 効率よく。
- 取り出しやすく。
- 組み立てやすく。(*)
- ・・・・・・・・・。
*組み立てやすくは、記憶されている要素を使ってイメージすることを想定している。
というように記憶されていたとしても、逐一、すべての要素を突き合わせていたのでは時間がかかるし、優先要素を決めて付き合わせても時間がかかる。
考えられるのは、記憶の中で似たもの同士は、ある程度グルーピングされているのではないだろうか。
そのグループのどれかと比較すればよいということにすれば、手間はかなり少なくなるだろう。
記憶の中で似たものをグルーピングする同じ仕方で、目の前で見た赤い筒を心の中でグルーピングしてみる。
今見ている赤い筒が消火器だと了解するためには、(心深層)の中に消火器のグルーピングがあるからで、その中にグルーピングすることに違和感がないからだ。
(心表層)にある赤い筒が何であるかの了解(心識層)は(心深層)でグルーピング済みのものである。
一つの推理だけれど・・・・・。